- #1
- #2
大谷翔平の舞台裏:ドジャース異聞BACK NUMBER
大谷翔平が投手復帰後に明かした“一つの誤算”…ドジャース番記者「今までにない異常な注目」そのウラで、大谷が充実感をのぞかせた“試合直後の7分間”
posted2025/06/21 11:04

現地6月16日、じつに663日ぶりの登板となった投手・大谷翔平
text by

斎藤庸裕Nobuhiro Saito
photograph by
AFLO
エンゼルス時代から663日ぶりの先発復帰を果たした大谷翔平。その日のドジャースタジアムの熱狂は、「今までに見たことがない、異常な光景」だった――。現地で取材を続ける斎藤庸裕氏による、“投手・大谷の舞台裏”ドキュメント後編《全2回/前編から続く》
◆◆◆
二刀流の電撃復帰となった6月16日(日本時間17日)、ドジャースタジアムにとてつもない光景が広がっていた。パドレスとのライバル対決4連戦の初戦。試合前にもかかわらず、異様な雰囲気に包まれた。大谷翔平投手(30)がキャッチボールから投球練習を終えたのは、プレーボール(午後7時10分)の約8分前。準備を整え、左翼ブルペンから三塁側ベンチへとゆっくり歩いた。その姿を逃すまいと、左翼から三塁側スタンドまでぎっしり埋まったファンが総立ちとなり、ほぼ全員がスマートフォンを掲げていた。
メディア関係者で大混雑…現場の熱狂
エンゼルス時代も二刀流を追いかけ、密着取材を続けてきたが、レギュラーシーズンでここまでの異常な注目は見たことがなかった。記者は試合開始の4時間半前、車で球場に到着。既に地元放送局の中継車が何台か、スタジアム敷地外に駐車していた。平日、月曜日のナイターゲームでは極めて珍しい。試合前練習の時間、フィールド上はメディアの撮影クルーやリポーター、記者らで大混雑。ブランドン・ゴームズGMとデーブ・ロバーツ監督の会見にはインタビュールームの一室に50人ほどが集結した。
ADVERTISEMENT
大谷自身は、試合前のクラブハウスでリラックスした様子だったが、現場の空気感はやはり特別だった。先発投手は通常、準備完了までにかかる時間を試合開始から逆算し、フィールドに登場する。大谷が三塁側ダグアウトから出てきたのは午後6時半。待っていたかのように、一斉にファンの拍手と歓声が上がった。その約15分前から、登場する姿を撮影しようと、球団SNS担当を含め、複数のカメラマンたちがスタンバイ。記念すべき節目の船出を待ち構えていた。