プロ野球PRESSBACK NUMBER
自作自演のピンチ脱出劇に新庄剛志監督が絶妙ニックネーム「明日から“さいこう ゆきや”に」日本ハム齋藤友貴哉の告白「自分が生まれ変われた試合」
posted2025/06/21 11:02

ピンチを脱出して両手をつき上げる日本ハム・齋藤友貴哉投手
text by

酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph by
SANKEI SHIMBUN
自ら招いた無死満塁の大ピンチ。“ノミの心臓”はまたしても試合を壊してしまうのかーー。誰もがそう思った中、しかし齋藤友貴哉は続く三者を切ってとり、“自作自演のピンチ”をしのいで渾身のガッツポーズを見せた。トラウマを克服した齋藤が目指す先に見据えるものとは。<全3回の3回目/1回目から続く>
“自作自演”のピンチ脱出劇
北海道日本ハムファイターズの齋藤友貴哉はまた独り相撲を演じようとしていた。
2024年8月27日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦は終盤にもつれて延長戦に入っていた。11回のマウンドに上がったのが齋藤だった。
だが、立ち上がりから浮足立つ。先頭の鈴木大地にセンター前に運ばれると、田中和基のバントを捕った齋藤は二塁に送球したがベースのはるか手前をはずむ悪送球になった。さらに、小郷裕哉のファーストへの詰まったゴロに一塁のベースカバーに入ったが内野安打にしてしまう。あっという間に無死満塁のピンチに陥った。
ADVERTISEMENT
投手コーチの建山義紀がマウンドにやってきて、一息入れる。
齋藤はここから速球で押しに押した。太田光を157kmで空を切らせると、渡邊佳明を二ゴロに片づけ、小深田大翔も球威で圧倒して投ゴロに仕留めた。
その瞬間だ。齋藤は両手を天に突き上げて仁王立ちした。
まるで優勝投手のような“場違い”なガッツポーズに新庄や山田勝彦バッテリーコーチらが指を差しながらツッコミを入れた。
自作自演のピンチ脱出劇について、新庄は自身のインスタグラムにこう投稿した。
《明日から登録名を さいこう ゆきや に変更させてもらいます》
ファンの支持を得ることになった、絶妙なニックネームの誕生である。
悪夢を葬るターニングポイント
だが、齋藤自身は真顔で振り返る。