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甲子園の風BACK NUMBER
「野球部は1学年18人の少数精鋭」沖縄・エナジックスポーツ高の“秘密”「なぜノーサイン野球?」神谷監督70歳の哲学「SNSやYouTubeも否定しない」
posted2025/06/23 11:04

春のセンバツで至学館に勝利したエナジックスポーツ。今夏の沖縄県大会でも有力校のひとつに数えられている
text by

松永多佳倫Takarin Matsunaga
photograph by
JIJI PRESS
「廃校になった小学校を再利用」エナジックのいま
沖縄自動車道を北上した終点・許田のインターを降りると、エメラルドグリーンの海が視界に飛び込んでくる。そのまま名護市街へと向かわずに、鬱蒼とした山林を切り開いた名護横断道路を走っていくと、かつて漁業が栄え、珊瑚も豊富だった大浦湾が眼前に広がる。深みのある鮮やかな緑と青みを帯びた海に目を奪われる。
風光明媚な山と海に囲まれた小さな村、名護市瀬嵩の久志地区にエナジックスポーツ高等学院はある。
包み込むような柔和な表情をした監督の神谷嘉宗は訥々と語った。
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「エナジックの会長の母校でもある久志小学校が廃校になり、なんとか有効利用しようと考え、跡地にエナジックスポーツ高等学院を創立しました。この久志地区は会長の生まれ故郷なんですよ」
この久志地区では2010年に甲子園春夏連覇を果たした興南のキャプテン・我如古盛次や5番打者の銘苅圭介が生まれ育ち、辺野古は1999年のセンバツ優勝投手であり沖縄尚学の現監督・比嘉公也の出身地でもある。甲子園優勝経験者が3人も出た地区だけに、昔から野球は盛んだ。
海と山に囲まれたエナジックの敷地に入る。沖縄県北部の元小学校の跡地だけあって、牧歌的なゆったりとした空気が漂っている。校舎も再利用しているためか小さめで、雰囲気的には“分校”といった印象だ。施設も含めて、まだまだこれから成長していく余地のある学校とも捉えられる。
創立してまだ4年目のエナジックだが、昨年、野球部が春の県大会に優勝し、夏と秋には準優勝、そして今春のセンバツに出た実績もあって、体験入学に80名ほどが集まったという。甲子園出場というバリューが、知名度や生徒募集に大きなプラスとなるのは言うまでもない。