ソチ五輪 雪と氷の情熱BACK NUMBER
“日本人らしいプレー”で五輪出場!
女子アイスホッケーが強くなった方法。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKyodo News
posted2013/02/20 10:31
ソチ五輪最終予選でデンマークを破り、五輪出場を決めた女子アイスホッケー日本代表。日本の全競技中で最初に五輪出場を決めたチームとなった。
0対3で逆転不可能かと思われたその時に……。
2月7日開幕のソチ五輪最終予選では、メンタルタフネスをいきなり問われた。
ノルウェーとの第1戦で、第2ピリオド途中にして0対3のリードを喫してしまうのだ。2点目と3点目は、相手のパワープレーをしのいだ直後にネットを揺らされている。精神的に引きずりかねない失点のパターンだ。
「私自身は1点返せば何とかなると思っていましたが、選手たちも同じ気持ちを抱いていました。第2ピリオドを終えて1対3でロッカーヘ戻ると、表情が明るいんです。『行けるよ!』という声もあがって。メンタル的に成長したな、と感じましたね」
第3ピリオドに3点を奪った日本は、4対3の逆転勝利で白星スタートを切る。「間違いなく予選突破のきっかけになった」と指揮官が振り返る勝利は、スロバキアとの第2戦へつながった。0対0のままゲームウイニングショットで負けたものの、参加4カ国でランキング最上位の相手から勝点1をつかみ取ったのだ。
ソチ五輪では日本人の特性を生かしたプレーでメダルを狙う!
勝てば五輪出場が決まるデンマークとの第3戦は、5対0の圧勝を飾った。身体能力の高い欧州勢との連戦は、肉体的な負担が激しい。試合を重ねるごとに疲労が蓄積していくはずだが、デンマーク戦でも日本の運動量は落ちなかった。フィジカル的な逞しさを身につけたことも、4大会ぶりの五輪出場を後押しした要因にあげられる。
日本アイスホッケー連盟の坂井寿如強化本部長は、「いい準備ができたことが、予選を突破できた要因です。これまで足りなかったものを、複合的に埋めていくことができた」と総括する。ソチ五輪に向けても「月1回の合宿をベースに、引き続き強化をはかっていきたい。海外遠征を増やしていくことも考えています」と話す。
世界のトップ・オブ・トップが集うソチ五輪で、メダルを獲得するには何が必要になってくるのか。坂井強化本部長が言葉をつなぐ。
「対戦したことのない相手ばかりなので、現状では正確な物差しを持てていません。ただ、いずれにしても相手のレベルは上がる。日本人が持つ敏捷性を生かして速く動き、パックを速く動かす。プレーのスピードと運動量は、日本のホッケーにとって生命線です。そのうえで、最終予選までの戦い方を継続していけばいいのか、それともどこか変えなければいけない部分があるのかを、細かく検証していきます」