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<お笑い芸人は、なぜ体を鍛えるのか?> ワッキー 「腕立てを欠かさなかったから今がある」
text by
林田順子Junko Hayashida
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/02/02 08:00
テレビで筋肉自慢をする芸人は何を思い、どう鍛えているのか。
好評発売中の雑誌Number Do『体が変われば人生が変わる!?』では、
庄司智春、ワッキー、団長安田の3人の本音に肉薄。
前回の庄司智春に続き、今回はマラソン芸人の称号も手に入れた、
ワッキーの“野望”に迫ります。
「マラソン嫌いなんですよ。番組じゃなかったら絶対挑戦しなかった。走るのが嫌いなわけじゃないんです。やっぱり市立船橋のサッカー部での3年間が強烈なんですよ。走るっていったらダーって全速力で、走り終わってぶっ倒れるみたいな感じ。だから真冬の真夜中に2~3kmの直線を走って追い込んで、ウインドブレーカーからもあ~っと湯気が出て、はあはあって息切れするくらい苦しくなる。そういう走りは好きなんですよ」
しかし、40歳という年齢を迎え、このままのトレーニング法ではいけないのでは、と迷いが生じた。そしてそれがマラソン挑戦への後押しになった。
「もやもやしてたんです。スポーツの仕事が多いけれど、若い頃のようなベストパフォーマンスはできなくなってきた。怪我の心配も出てきた。若い頃は100%まで追い込まないと気が済まなかったけど、今は80%できれば、それが自分の100%なんだと思うようになったり。そうやって考え方やスポーツのジャンルを変えている時期だったんです。だからマラソンなら長く続けることもできるだろうな、ただ250kmは極端だな~と、悩んだんですよ。でも庄司に相談したら“俺だったらやります”って言われまして。その言葉に奮起しましたよ」
+αを武器にするしかない。それが僕の場合は運動だった。
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体づくりが笑いに役立つのか、揺れていた庄司と違い、ワッキーの言葉には迷いがない。体を鍛えることを信じて疑っていないのだ。
「デビューして10年は、本当に仕事がなくて、何をしていいか分からなかった。だけど、とりあえず腕立て伏せだけは続けてたんです。そうしたらあるとき永井大くんがテレビで長座の状態から足を抜いて逆立ちをしていて、俺にもできるかな? ってその場で真似したらできたんですよ。それをネタに入れたら、話題になって、筋肉番付やスポーツマンNo.1決定戦に呼ばれて、とんとんとんって仕事が増えて、今がある。
1個の腕立て伏せがここまで結び付いたんですよ。芸人なのに何につながるか分からんけれども、やり続けたらそうなった。芸人なんて売るほうからしたら人形なわけですよ。じゃあどういう人形かってなったときに、誰よりも面白ければいいけれど、そこまでのクオリティがなかったら+αを武器にするしかない。それが僕の場合は運動だった」