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史上最大の兄弟喧嘩、勃発!?
今年のスーパーボウルが必見の理由。
text by
渡辺史敏Fumitoshi Watanabe
photograph byGetty Images
posted2013/01/30 10:30
ボルティモア・レイヴンズのヘッドコーチで1歳年上の兄となるジョン・ハーボー(左)と、サンフランシスコ49ersのヘッドコーチであるジム・ハーボー。
現地時間で2月3日(日本でのテレビ中継は4日月曜日の朝8時より)、ルイジアナ州ニューオリンズでNFL優勝決定戦、第47回スーパーボウルが開催される。毎回40%以上の視聴率を稼ぐアメリカ最大のスポーツ・イベントだが、今回は例年にはない注目点がある。
まず挙げられるのが大会史上初の兄弟ヘッドコーチ対決だ。
AFC王者ボルティモア・レイヴンズのヘッドコーチ(HC)ジョン・ハーボーが兄で、NFC王者サンフランシスコ49ersのHCジム・ハーボーは一つ年下の弟なのだ。
二人は長く大学でコーチを務めた父ジャックの影響を受け、共にフットボール選手としてプレーをした経験を持つ。
ミシガン大学で活躍した弟ジムはその才能を認められ、1987年のドラフトで1巡指名を受けシカゴ・ベアーズに入団。2000年までインディアナポリス・コルツやサンディエゴ・チャージャーズなどで現役を続けた。そのプレー・スタイルはアグレッシブで、大逆転劇を演じたことから「キャプテン・カムバック」というニックネームを与えられている。
現役時代からコーチ業について学んでいたジムは引退後サンディエゴ大学やスタンフォード大学など順調にキャリア・アップを果たし、'11年に49ersのヘッドコーチに抜擢された。その最初のシーズンでNFCカンファレンス・チャンピオンシップまで進出し、コーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞。そして今シーズン、チームを18年ぶりのスーパーボウルへと導いたのである。まさにとんとん拍子の大出世だ。
経歴、性格ともに好対照な兄弟の“ハーボウル”決戦。
一方、兄ジョンはジムと違い選手としては大学でも芽は出ず、卒業後'84年にコーチ業を始めた。
アシスタント・コーチから始め、徐々に時間をかけてステップアップし、'08年にようやく現在のレイヴンズHCの座を得ている。就任後4年連続プレーオフ進出を果たしたが、いずれも敗退。今回5年目でようやくスーパーボウル進出の念願を叶えた。
ここまでの経緯は大きく違う二人だが、性格もジョンが比較的落ち着いているのに対し、ジムは不服な判定に身につけたヘッドセットをたたきつけるなど現役時代そのままに激高しやすい気性の激しさを前面に出すなど対照的。ただ仲はとても良いのが兄弟ならではか。
今回はそんな兄弟対決となったスーパーボウルを、名字からとられた愛称“ハーボウル”や、「ブラザー(兄弟)」対決との意味を込めて“ブラ・ボウル”などと呼ぶ向きもある。
ゲームが済むまでは電話で話すこともないというハーボー兄弟、軍配が上がるのはどちらか。