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「勇気とバランス」をスローガンに!
ザックが2つの言葉に込めた真意。 

text by

二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/01/06 08:01

「勇気とバランス」をスローガンに!ザックが2つの言葉に込めた真意。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2013年のザックジャパンは2月6日の親善試合、ラトビア戦で始まる。早ければ、3月26日のヨルダン戦でW杯出場が決定する可能性もある。

 代表にはスローガンがつきものだ。

 基本的には監督の哲学や方針が反映され、メディアがことさら強調することで世間に浸透してきた印象がある。フィリップ・トゥルシエなら「規律」、「フラット3」、ジーコなら「自由」、「黄金の中盤」、イビチャ・オシムなら「日本化」や「考えて走る」などだろうか。前任の岡田武史も「接近・展開・連続」という早大ラグビー部のスタイルを参考にして個性的なスローガンを持ち込んでいる。

 それでは、ザックジャパンのスローガンって何? そう聞かれると、もう就任して2年半が経とうとしているのに意外にも定着していないことに気づかされる。「縦に速い」や「3-4-3」などはあっても、スローガンと言われると少し違う。

 だが、実はアルベルト・ザッケローニには就任当初から言い続けてきた“名フレーズ”がある。

 それは「勇気とバランス」――。

 筆者はこれこそがザックジャパンのスローガンに相応しい言葉だと思っているのだが、世間に深く浸透している感じをあまり持っていない。そこでこの言葉が意味するところを筆者なりに解釈していきたい。

ピッチ上で表現される「勇気」と「バランス」。

 この言葉、実に奥が深い。

 勇気を「熱」、バランスを「冷静さ」と捉えてみると分かりやすい。「熱」も必要だが「冷静さ」も必要だということなのだろう。両極端を強調することに、意味があるように感じている。 ピッチ上の戦いにおいてこれは反映される。「勇気」には攻撃的な意味合いが強く、勝つためにはリスクを冒してでもそれを打ち出して攻撃の色を出していかないといけない。またその一方で「バランス」は守備的な意味合いが強く、誰かがリスクを冒して攻撃に出たときにはチームが逆にリスクマネジメントを図らなければいけないということもある。

 一方のサイドバックが上がれば、逆サイドは上がらない。こういった戦術的な約束事も「バランス」には内包されている。チームが得意とするサイドからの崩しは逆に「勇気」の範疇と言えるだろうか。

 10月に行なわれた欧州遠征でも、ザッケローニはこの「勇気とバランス」の観点で試合を見ていた。

【次ページ】 ブラジル戦を「勇気とバランス」で分析すると……。

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