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社会人を経てドラフト5位でDeNAへ。
攝津に続け!遅咲きの花・安部建輝。 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO

posted2013/01/02 08:01

社会人を経てドラフト5位でDeNAへ。攝津に続け!遅咲きの花・安部建輝。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS/AFLO

DeNAから5位指名を受け、会見する安部建輝。近大附高の後輩である鶴直人(阪神)や近大の巽真悟(ソフトバンク)、同じNTT西日本から西武に1位指名された増田達至など、“ライバル”たちとの対戦にも注目が集まる。

NTT西日本時代の恩師が語る、大学時代の印象。

 彼の力を見抜いていたのは、おそらく、後に進むNTT西日本の首脳陣だけだっただろう。

 安部の入社時の監督、橋本哲也は大学時代の印象をこう話していた。

「試合を見る時に、私はブルペンをよく見るんです。取り組む姿勢やベンチに戻ってくる姿勢などを確認するためです。安部の場合はブルペンでの姿勢がよかったんです。近大には巽君という主戦がいましたが、出番が少ない投手は不貞腐れてもおかしくないんですけど、安部にはそんな様子が微塵もなかった。動きが良かったですし、ボールそのものも良かった。練習に来てくれた時にもきっちり投げてくれたし、考え方もしっかりしていた。社会人としてもやっていけるんじゃないかと思ったんです」

 2009年、NTT西日本に入社してまもないスポニチ大会でデビューを果たすと、安部の名は瞬く間に広がった。2回戦の鷺宮製作所戦で9回1失点完投。安部曰く「高校・大学を通じて初めての完投。プロを目指していく上でも、自信になった試合」という。

 その後、夏に調子を落としたものの、主戦としてNTT西日本を引っ張り、2010年には、ドラフト候補として注目を浴びるようになったのである。

「大学時代の実績は関係ない、社会人で頑張って……」

 再び、前監督の言葉を借りる。

「ストレートの勢いもありますけど、リズムがいいので、守備が守りやすいピッチャーです。1年目に投げさせてみて感じたのは、マウンドに立つことに対する飢えでした。どの投手も、マウンドに立てば目の色を変えるんですけど、安部は楽しそうに投げているなというのを見ていて感じました」

 マウンドに上がれば、その喜びをピッチングで表現した安部だったが、控えに甘んじてきたことへの秘めた反骨心は並々ならぬものがあった。

「大学時の同級生には、何もかもが負けていた。あいつらは結果を出していたし、自分が弱いとしか思っていなかったです。大学を卒業してみんなバラバラの進路になったので、あいつらには負けたくないと思って、社会人に上がりました。大学時代の実績は関係ない、社会人で頑張って、プロに行ってやるという気持ちだった」

【次ページ】 「攝津の存在が社会人野球出身者への見る目を変えた」

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