濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
UFCへの一極集中が進む格闘技界。
日本人選手も世界標準への対応急ぐ。
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2012/12/24 08:01
12月8日、ディファ有明で行われた「DEEP CAGE IMPACT 2012 in TOKYO 2nd ROUND」、菊野克紀(写真右)対LUIZの一戦。試合は菊野がKOで勝利した。DEEPは積極的にケージ使用の大会を開催しており、ルールを含めより海外を意識している。
国内最多の興行数を誇るDEEP佐伯代表のしたたかさ。
そんな状況を打破するための動きが活発化したのも、2012年の特徴だといえるだろう。
年間22回(他、キックの大会が4回)、日本最多の興行数を誇るDEEPは、東京はもちろん地方でもケージ大会を開催。来年はさらにその数を増やすという。
DEEPの佐伯繁代表がスーパーバイザーを務める女子総合イベントJEWELSも、12月に初のケージ大会を行なった。JEWELSはアメリカの女子団体インヴィクタFCと提携して選手を派遣、またUFCにも女子部門ができることから、今後は女子のトップ選手もアメリカに目を向けることになりそうだ。
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ケージ大会の増加には、アメリカ志向の選手を金網の中での闘いに慣れさせておくという意味がある。
かつて佐伯は「ケージの試合は興行の“風景”を変えて目新しさを出すため。大事なのは自分たちの興行であって、アメリカの基準に従う必要はないですよ」と語っていたが、UFC日本大会で“DEEP出身”の選手が闘う姿を見て、少し考えを変えたようだ。
「今の時代、アメリカに行きたいという選手を止めることはできない。といって、行けば誰でも勝てるというわけじゃない。僕は選手に『まずはウチで勝ちなさい。チャンピオンになって、1回防衛したら送り出してあげる。そのくらいの力がないと、アメリカに行っても通用しないよ』と伝えてますね」
国内のファイターが大同団結し、アメリカ進出に懸ける。
12月24日には、総合格闘技の老舗・修斗の興行会社であるサステインが実行委員会を組織する形でケージイベント『VTJ』を開催。来年以降も定期化していくという。坂本一弘サステイン代表が語ったその目的は明確だ。
「アメリカで勝てる日本人選手を育てる。UFCのチャンピオンを日本から輩出する。VTJはそのための大会です」
さらにパンクラスも“世界標準”というスローガンのもと、練習も含めた選手の海外派遣を強化していく方針を打ち出した。大沢ケンジの和術慧舟會HEARTS、長南亮のTRIBE TOKYO MMAなど、アメリカの技術トレンドや練習方法を取り入れたジムは多い。