野球善哉BACK NUMBER
WBCメンバーに最も多く選ばれた、
“縁の下の力持ち”世代に刮目せよ!
text by

氏原英明Hideaki Ujihara
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/12/19 11:35

プロ6年目の今季、自身最多の12勝と自身最高の防御率2.03を記録した大隣(ソフトバンク)。他にも、長野(巨人)、岡田(ロッテ)、本多(ソフトバンク)がゴールデングラブ賞を受賞するなど、“縁の下の力持ち”世代の活躍が目立った。
2005年の西岡のブレークに続く同世代の選手たち。
<2003年> 西岡、高井、坂口智隆(オリックス)ら高卒選手がプロ入り。
<2005年> 西岡が盗塁王、ベストナイン、ゴールデングラブ賞を獲得。
<2006年> 吉見、本多ら高卒・社会人経由の選手がプロ入り。西岡が2年連続の盗塁王。
<2007年> 大隣、岸ら大卒選手がプロ入り。上園啓史(当時阪神、現楽天)が新人王を獲得。
西岡がベストナインとゴールデングラブ賞。
<2008年> 吉見が8連勝でチーム記録を樹立。坂口がゴールデングラブ賞を受賞(以降、4年
連続受賞)。
<2009年> 吉見が最多勝、松本哲也(巨人)が新人王、ゴールデングラブ賞を獲得。
<2010年> 本多が盗塁王、西岡が首位打者、ベストナイン、ゴールデングラブ賞を獲得。
嶋基宏(楽天)がベストナイン、浅尾が最優秀中継ぎを受賞。長野が新人王。
<2011年> 浅尾がMVP、最優秀中継ぎ、ゴールデングラブ賞。吉見が最多勝、最優秀防御率
とベストナイン。長野が首位打者とベストナイン。本多が盗塁王とベストナイン、
岡田幸文(ロッテ)がゴールデングラブ賞、坂口が最多安打。牧田が新人王
に輝く。
<2012年> 長野が最多安打とベストナイン、ゴールデングラブ賞を受賞。岡田、本多が
ゴールデングラブ賞。
アマチュア時代から誰もがそのプレーを知っている選手は多くないが、プロ入り後、次第に頭角を現していった世代と言える。
この世代を象徴する苦労人、オリックスの川端崇義。
プロ入団時はそこまで多くの注目を浴びなかった彼らだが、それでも地道に研鑚を積み重ね、それぞれの居場所を確立してきた。
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今シーズンには、おそらくこの世代、最後のプロ入りであろう選手も迎えた。オリックスの川端崇義である。彼こそ、この世代を象徴する苦労人。大学4年時から常にドラフト候補と呼ばれながら声がかからなかった。それでも努力を続け、8位指名という評価で夢を射止めたのである。今季途中から一軍に昇格し、レギュラーを獲得。走・攻・守3拍子揃ったプレースタイルで、一時は、新人王候補に浮上したこともある。
川端がシーズン中、こんなことを話したことがあった。
「自分のことをやるだけと思い、これまでやってきました。ドラフトで指名がなかったり、プロ入りの時も指名順位が低かったりしましたけれど、それは他人が評価することなのでしょうがない。自分は自分のプレーを全力でするだけです。ずっとそう思ってきたし、これからもその気持ちに変わりはないと思います」