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「一本を取る」見栄えのする柔道へ。
新ルールに日本は対応できるか?
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byDaiki Kitamura/AFLO
posted2012/12/16 08:01
12月2日まで行なわれたグランドスラム東京、60kg級決勝で肩車を決め、優勝した高藤直寿。今回のルール変更で決まり手が禁止となり、戦い方のモデルチェンジを迫られる選手も多い。
国際柔道連盟は、新ルールを試験的に導入することを発表した。
2013年2月9、10日のグランドスラム・パリ大会から8月末に開幕する世界選手権まで新ルールのもとで実施され、その期間中の大会での様子を見て、あらためてその後のルールが議論されることになる。
変更される主要ポイントは次のとおりとなる。
*(一本の厳格化)一本については、背中が畳につく際に本当のインパクトがある技の場合のみ一本とみなす。
*(組み手の遂行)素早く組まない、あるいは相手に組まれないようにする行為には厳格に指導を与える。
*(抑え込みの短縮)抑え込みが場内から始まった場合、場外に選手が出ても続行され、10秒で有効、15秒で技あり、20秒で一本と、5秒ずつ短縮。
*(旗判定の廃止)旗判定を廃止し、決着がつくまで試合を続行する。
*(審判の人数)畳の上の審判を3名から1名とし、そのかわりに畳の下で2名がチェックする。
*(指導のポイント化廃止)指導が2つで有効のポイントとなっていたが、これを廃止。試合終了時点で技のポイントが同等な場合に、指導の数で勝敗を決する。また、4つ目の指導で反則負けとする。
注目の改正ポイントは立ち技における脚取り禁止の強化。
などとなっているが、さらに注目すべきは、
*(脚取りの禁止)立ち技の際、相手の帯から下をつかんで攻撃する、またはブロックするすべての行為は反則負けとする。
という部分だろう。
2010年のルール変更で、タックルで相手を倒すなど直接、下半身を攻撃するのは反則となっていたが、連続技や返し技では認められていた。それらもまた、反則になるということだ。