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W杯後の代表選手の行方が気になる!!
長谷部は将来プレミアリーグに行く?
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byTamon Matsuzono
posted2010/06/12 08:00
ヴォルフスブルク新監督がマクラーレン氏に決定後、日本でもおなじみのピエール・リトバルスキー氏がコーチに就任することも発表された。長谷部にとってはますます良い環境になったと言えるだろう
「たしかにあのキーパーは印象に残った。オランダ戦でも同じようなプレーが出来れば、ヨーロッパのクラブから声がかかることもあるんじゃないか?」
グラーツで行われたイングランド戦の後、日本代表の前監督(イビチャ・オシム)がGKを褒めていたと伝えると、知人のイングランド人記者は素直に同意した。
事実、川島の評価は高かった。
英国の高級紙『ガーディアン』は翌日、試合のレビューを掲載したが、両チームの先発メンバー22人の中で、最もレーティング(選手の得点評価)が高かったのは川島、闘莉王、本田の3名(10点満点中7点)。
途中交代した選手も採点の対象になっていれば、ジェラードも高い評価を受けていただろう。だが少なくともイングランドの先発組の中で、7点を得た者はいなかった。(ちなみに他の日本人選手のレーティングは次の通り。6点:中澤、今野、阿部、長谷部、遠藤、大久保。5点:長友、4点:岡崎)
日本代表のためにも、選手はもっと海外へ行くべき。
もちろんこの手の採点は絶対的なものではない。日本の選手に対する評価が意外に高いのは、楽に勝てるだろうという予想が覆されたことへの驚きも多分に反映されているはずだ。またオシムが「あんなに良いプレーをしたのを見たことがない」と讃えた阿部の点数が他のMFと同じなのは、ゲームを見る視点の違いにも関係していると思われる(ついでに言えば、岡崎が4点なら、アンカーとして先発し5点がついたハドルストーンは3点か2点でいい)。
だが同時に、このような報道がW杯に臨もうとしている選手に一つの示唆を与えてくれるのも事実だ。それは「日本代表は個々のレベルでも世界中の視線にさらされる」ということである。
W杯はチームとしての成績を競う舞台であることは百も承知だし、選手にとにかく個人としてアピールせよと強いるつもりはない。しかし日本代表が世界で本当に戦える集団に変貌するためには、「個」の底上げが不可欠になる。
いかにして「個」を底上げするか。
最も手っ取り早いのは、海外リーグで実力を磨くことだ。
そのきっかけを手にする絶好のチャンスこそ、W杯という名の「ショーケース」なのである。