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W杯後の代表選手の行方が気になる!!
長谷部は将来プレミアリーグに行く?
text by
田邊雅之Masayuki Tanabe
photograph byTamon Matsuzono
posted2010/06/12 08:00
ヴォルフスブルク新監督がマクラーレン氏に決定後、日本でもおなじみのピエール・リトバルスキー氏がコーチに就任することも発表された。長谷部にとってはますます良い環境になったと言えるだろう
マクラーレン監督がいつかプレミアへ連れて行く!?
たとえば中田英寿のペルージャ移籍は、1998年のフランス大会でのプレーが評価されて実現したものだった。またW杯ではないものの、中村俊輔は2005年のコンフェデレーションズカップでゴードン・ストラカンに見初められ、レッジーナからセルティックへ引き抜かれた。彼らの成長が日本代表のレベルアップに大きく貢献したことは、改めて指摘するまでもない。
他方、W杯のような大会で結果を出すことは、すでに移籍を果たしている選手にとっては、クラブ内でアピールしていくための有効な手段にもなる。この点で非常に興味深いのがヴォルフスブルクの長谷部だ。
来シーズン、ヴォルフスブルクの監督にはスティーブ・マクラーレンが就任することが決まっている。イングランド代表監督時代、マクラーレンはユーロ2008の予選通過に失敗して味噌をつけたが、オランダリーグではトゥヴェンテを率いて優勝。アヤックス、PSV、フェイエノールトという三強を退けてタイトルを獲得した実績が認められ、ヴォルフスブルクに招かれた。
むろんオランダリーグとブンデスリーガではレベルも異なるし、マクラーレンがドイツでも結果を残せるかは蓋を開けてみるまで分からない。
だがマクラーレンは遅かれ早かれ、プレミアのクラブに監督として返り咲くのではないかと噂されている。つまりW杯で存在感を示し、マクラーレン新監督の心を最初からしっかりと掴むことは、長谷部にとってプレミアのクラブに移籍できる可能性を将来的に高めていくことにもつながると考えられる。
朴智星が欧州で活躍する韓国人選手を増やしたように……。
さらに、W杯で存在感を示して海外クラブへの移籍を実現したり、W杯を期に海外のリーグでキャリアアップする選手が増えていくことは、彼らの後に続こうとする選手にとってもプラスになる。その好例が韓国代表の朴智星だ。
朴智星は韓国代表監督を務めていたフース・ヒディンクに見初められ、日韓大会終了後にPSVに加入。やがてはマンUのアレックス・ファーガソンにも白羽の矢を立てられた。
彼はコンスタントに活躍し続けることで、韓国人選手そのものの評価を高め、海外リーグで自らに磨きをかける若手韓国人選手をいっそう増やす原動力となった。
残念ながら今の日本代表には朴智星のような、あるいはかつての中田英寿のような牽引役がいない。長期的に代表のレベルアップを図るという意味でも、日本代表の面々には南アでチームとして結果を残すことはもとより、個人でもしっかりと存在感を示すことを目指して欲しい。それはひいては、草の根のサッカー人気を高めることにもつながっていく。