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ドメスティックブランドの高性能ロードバイクを駆って、速く走る楽しさを知る! 

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奥山泰広&高成浩

奥山泰広&高成浩Yasuhiro Okuyama & Seikoh Coe(POW-DER)

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photograph byInterMax

posted2012/07/24 06:00

ドメスティックブランドの高性能ロードバイクを駆って、速く走る楽しさを知る!<Number Web> photograph by InterMax

パワーロス軽減のための高剛性フレームは最重要!

   日本が世界に誇るインターマックスのフルカーボン・バイク「ヴァルブレンボ」だな。どうだ!

奥山   うわっ、インパクトのある格好ですね。何なんスか? この斜めの柱は?

   斜めの柱? あっ、ダウンチューブのことね。業界トップクラスの口径を誇るダウンチューブは、太さだけでなく独特の形状を持たせることで優れた剛性を実現しているんだ。しかも、このBB、ボトムブラケットがまた凄いんだな。

奥山   BB? ボトムブラケット? ああ、フレームの下の部分、ペダルの軸が通っているトコロですね。

   BBっていうのはペダルの回転軸と軸受けが一体となったパーツのことで、推進力を司るとても重要な部位なんだよ。通常はそれをフレームに取り付ける際にはネジ入れするんだけど、このヴァルブレンボはプレスフィットといって文字通り圧力をかけて入れるんだ。フレームにネジを切り込む必要がないから、より口径を大きくすることができ、BBそのものも太く強くできるってワケ。つまるところ、剛性が格段にアップするってワケだ。

奥山   ふ~ん。さっきから剛性にこだわってますけど、自転車ってそんなに剛性が重要なんですか? 何百馬力もあって200km/hで走るクルマのボディなら、高剛性が必要なのもわかるんですけど……。

   自転車ってサ、車体の中心から両側に飛び出たペダルを漕いで進むんだよ。そのペダルに交互に力を加えるため、どれだけスムーズに回転させてもブレが生じちゃうんだよ。たかが人力でも、ペダル軸が歪むんだよ。その歪みがフレームの歪みを生み、従って推進力のロスにつながるんだな。何百馬力もないからこそ、推進力を無駄にしたくないんだよ。だから各メーカーは歪みを無くそうとBBを、フレームを強くしようと工夫を凝らしてるんだ。

奥山   へ~このエグいフォルムは奇をてらったものではなく、必然から生まれた機能美だったんですね。ダウンチューブに比べると、いちばん上の水平の柱と後輪への斜めの柱は、しごくスマートですね。

   トップチューブとシートステーのことね。乗り心地の快適性を損なわないように、これらを細くしてバランスを取っているんだよ。ちなみに前輪を支えるフロントフォークが太いのは、ダンシング(立ち漕ぎ)の際に安定性を確保して登りでのスピードを落とさないためと、素早く安定したコーナーリングを実現するためさ。さて、ディテールがわかったトコロで、このバイクを持ってみなよ。

インターマックスが優れている理由とは?

奥山   (ハンドルとシートを掴んで持ち上げる)うわ~、凄く軽い。ビックリ!

   ふふっ。初心者は皆、高性能フルカーボン・バイクの軽さに驚愕するね。フレーム単体で1kg、もろもろのパーツを取り付けた完成車両は7kgそこそこだね。

奥山   普通のママチャリが20kgオーバーとすると、その1/3しかないのか。ロードバイクって本当に軽いんですね。

   このヴァルブレンボはカーボンモノコックだからな。

奥山   モノコック? なんか、クルマ雑誌とかで見かけた単語だったかな!?

   そのとおり。クルマや航空機に使われる構造で、外側のシェルそのものが強度部材を兼ねているので、非常に強度が優れているのが特長なんだ。

奥山   なるほど。シェル自体が強いから、ボディの内部に骨組みを入れないでいいんですね。だから、こんなに軽いんだ。

   おっ、わかってるじゃん! さらに、インターマックスが自転車業界に先駆けて導入してきた「オートクレープ工法」にも注目。普通のカーボンフレームは成型後、自然硬化させるんだけど、インターマックスでは専用の真空釜に入れて高圧でバキュームするんだ。同時に120度を超える高温で2時間加熱し、カーボン繊維間の余分な樹脂や気泡を取り除くんだよ。F1マシンや戦闘機のカーボンと同じ工法だから、非常に軽く、それでいて強靭なフレームが出来上がるんだ。ハイエンドモデルの「コルサ イタリア エボリューション」とかがそうだね。

奥山   す、凄い。「F1と同じ」ってキーワードが、心の琴線に触れました! で、また質問なんですが、さっきの剛性に続き、今度は軽さにこだわってますが、ロードバイクにとって軽いのはそんなに重要なんですか? 高さんが普段乗っているバイクだって、十分に軽いんでしょ!?

   俺が通勤で乗っているバイクは約9kgだから、このヴァルブレンボとの重量差は2kgになる。2kgと言うと、水が満杯の大きなペットボトル1本ってトコロだ。そんな重い物を担いで急な峠を登ったり、100km以上のロングライドを走るなんて負担以外の何物でもないだろ!?

奥山   なるほど。そう言われると、軽い方がいいって理解できます。

   まぁ、とにかくヴァルブレンボに乗ってみなさいよ!

【次ページ】 初心者でも「もっと速く、さらに遠く」走れる!

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