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日本代表を支える控え組の“献身”。
ザックも認める中村憲剛のひたむきさ。 

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二宮寿朗

二宮寿朗Toshio Ninomiya

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photograph byShigeki Yamamoto

posted2012/06/30 08:02

日本代表を支える控え組の“献身”。ザックも認める中村憲剛のひたむきさ。<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

オシム、岡田武史、ザッケローニと歴代代表監督からコンスタントに招集されている中村憲剛。Aマッチ59試合出場で6ゴールをあげている。

 あのブリスベンでは印象深いシーンがあった。

 オーストラリアを相手に栗原勇蔵が先制ゴールを奪ったときのことだ。その瞬間、背番号16は迷うことなく控えメンバーの待つベンチに向かっていった。

 抱きつく味方を引きずりながら、倒れながら、栗原はピッチ際で待ち受けていた歓喜の輪に飛び込んでいく。清武弘嗣がジャンプして栗原の大きな体を受け止め、次々とビブスを着た控えの選手たちがなだれ込んだ。

 輪の外側に手を叩きながら笑顔を浮かべる中村憲剛がいた。栗原やアシストした本田圭佑たちを迎え、最後には肩をポンポンと叩いて再びピッチに送り返した。記者席からでもチームの一体感は十分に伝わってきた。

 ふと2年前の南アフリカワールドカップのカメルーン戦を思い出した。

 本田が先制ゴールを決めてそのまま一直線にベンチに向かうと、中村がその体を受け止めていた。輪が二重にも三重にも広がり、手荒く、熱く祝福する。あのときの中村は試合後、興奮気味にこう語ったものだった。

「試合の何日か前に『点を取ったら(ベンチに)来いよ』ということは伝えていました。そういう絵って、チームが凄く盛り上がるじゃないですか。W杯で上に行くチームって、みんなああいうふうになる。全員で戦わないといけないし、ベンチも戦っていた。最高でしたね、出ていないのにこんなに喜んだのは久々かもしれない」と――。

 ブルームフォンテーンで見た光景とそっくりだった。ブリスベンの夜もきっとベンチのメンバーから栗原に「来いよ」指令が出ていたに違いない。

出場機会を得られずとも、高いモチベーションを維持。

 6月、勝負の3連戦を2勝1分け、得失点差プラス9という上々のスタートを切ったザックジャパン。その陰には、いい雰囲気をつくったサブに回った選手たちの「献身」があった。なかでも遠藤保仁に続いてチーム2番目の年長者である中村の存在は大きかったように思う。

 ちょっと昔の日本代表ならレギュラーから外れてしまうと、モチベーションの低下がこちらの目にもはっきりと分かってしまう選手もいた。

「試合に出られない選手たちは、いろんな気持ちを抑えながらやっている」と、ジーコジャパンを主にサブの立場で支えた三浦淳宏氏からかつてそんな話を聞いたこともある。しかし、この中村という男はいかなる立場であってもモチベーションを決して落とさない。

 今年に入ってからは先発で起用されたことが一度もなく、2月のウズベキスタン戦では本田が不在にもかかわらず出場機会がなかった。今回は本田が戻ってきたこともあって先発のチャンスが回ってくる可能性は低い。それでも冒頭15分公開の練習風景を眺めるだけで、心身の充実を維持させていることは見てとれた。若手にも積極的に声を掛け、雰囲気づくりも気にかけているようだった。ベテラン中村の振る舞いは「一体感」を後押ししていた。

【次ページ】 「クラブも代表も自分を高められる場所ですから」

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