ロンドン五輪代表、最大の挑戦BACK NUMBER
五輪男子サッカー組合せを徹底分析。
1次リーグ突破の鍵はモロッコ戦。
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byAP/AFLO
posted2012/04/25 11:45
ロンドンのウェンブリーで行われた抽選会に参加した関塚隆監督。「どこも強豪。しっかり今から準備できることをして、予選突破し、メダルに向かってやっていきたい」と1次リーグ突破からメダルまでを視野に入れたコメントを残した。
実は……1996年のアトランタ五輪と似た組合せ!?
対戦相手、対戦日程を見てみると、前園真聖や中田英寿らが出場した1996年アトランタ五輪の時とよく似ている。
ブラジルはスペイン、ナイジェリアはモロッコ、ハンガリーはホンジュラスと、対戦国の力関係はほとんど変わらない。ただ、質的には、アトランタの方が上かもしれない。
ナイジェリアは金メダルを獲得し、ブラジルは銅メダルだった。その2チームと日本は同組だったのだ。また、日本は、2勝1敗と勝ち点6を挙げたが、得失点差でグループリーグ突破を果たすことができなかった。
では、アトランタ五輪の教訓を、どう活かすのか。
「マイアミの奇跡」ならぬ 「グラスゴーの奇跡」に期待!
アトランタ五輪の時は、初戦のブラジルを徹底的に分析し、守備的な戦術を徹底することで、「マイアミの奇跡」を起こした。この勝利によって選手は、自信を持つことができ、つづくナイジェリア戦は敗れたが、3戦目のハンガリー戦の勝利に繋がったのだ。
今回もスペイン相手に単純に打ち合いを挑むのではなく、どんなに無様な戦いをしても勝つための術を貫いて戦うしかない。ロースコアでの勝負になれば、勝機はある。「グラスゴーの奇跡」を起こすことだって可能なのだ。
仮に、勝てなくても自分たちのサッカーに自信を持てる戦い方ができれば、次戦では勇気を持って戦える。1999年ナイジェリアのワールドユースの時も初戦カメルーンに1-2で敗れはしたが、自分たちのサッカーに自信を持てたからこそ、巻き返して最終的に準優勝まで至ったのだ。
日程的には、最初にスペインと戦えるのは、むしろプラスだろう。本来であれば2戦目が理想だったが、3戦目にスペインと雌雄を決するとなるとそのプレッシャーは相当なものになる。ドイツW杯の時は、ブラジル戦がまさにその戦いになって撃沈したが、今回、それを避けられたのは非常に大きい。