野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
ファン感激のDeNA新ユニフォーム。
ピンストライプに込めた「継承と革新」。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byKYODO
posted2012/02/04 08:01
1月29日に行われた新ユニフォームお披露目会見にて。写真左端の三浦大輔投手が着ているのがピンストライプ柄のホーム・ユニフォーム。そこから右に、巨人から移籍したラミレス、中畑清新監督
前球団の枠組みを踏襲したソフトバンクの成功例。
似たようなケースが過去にはある。
2004年にダイエーからソフトバンクへと親会社が変更になったホークスだ。かの球団も、親会社の変更に伴い球団歌「いざゆけ若鷹軍団」のダイエーの部分をソフトバンクに変えただけで踏襲。マスコットのハリーホークもそのまま継続し現在に至っている。身売り当時、何人ものホークスファンから「ありがたい」という言葉を聞いたが、福岡のファンにすんなりソフトバンクが受け入れられ、人気球団としての求心力を失わずに済んだことは、たとえ無理やり詰め込んだ「ソフトバーンクホークスー♪」の部分が歌い難かろうと、旧ファンが愛したチームの枠組みを尊重し、引き継いだことも要因のひとつにあるだろう。
「継承と革新」を実践するDeNAなら球団歌問題も解決!?
愛情を注いだチームが、まったく知らないチームになってしまったらという恐怖。身売り決定時にスポーツ新聞に掲載された合成写真のような携帯マークが袖につくんじゃないか。背ネームのOの字にモバゲーのロゴと同じ目の玉が入るんじゃないか……なんてチームのフォーマットが決まるまでの期間、ファンというものはあらぬ妄想に取り憑かれ身を窶す。
だが実際にDeNAが球団買収後にしたこと。本拠地を横浜に残し、地域貢献室を設立した。コーチに高木豊、山下大輔らが復帰。木塚敦志、高木由一コーチらも残留し、加地前社長も会長として球団に残したりと、球団名を「モバゲーベイスターズ」で申請しようとした時はどうなるものかと思ったし、中畑監督就任記者会見の時は血圧が絶好調になりもしたが、今回のことも含め、チーム作りのところどころで旧ファンの思い入れを大事にしながら、「継承と革新」というこの矛盾した二つの要素を取り入れようという姿勢が見える。
これらは容易なことじゃないだろう。気に入らないことも必ず出てくる。だが、生まれ変わったベイスターズには、自身が大洋・横浜ファンを公言する池田社長をはじめ、各業界から賢い人材が続々と集まってきているという話も聞く。
その人らなら、素人では据わりの悪そうなDeNAベイスターズ版「熱き星たちよ」の歌詞やら、函館五稜郭へのトレードが噂されるホッシーをはじめ、議題山積となっている問題も何とかしてくれるんじゃないかという期待も抱けようというもの。
戦力は未知数ながら、DeNAの球団運営は合格!
就任当初は授業参観でハッスルする親を見る中学生が如く、見ないフリに徹してきた中畑監督の完全イロモノ扱いパフォーマンス報道も、最近はもう面白くてしょうがなくなってきた。やはり何の分野においてもやり切れる、突き抜けられる人は天才だ。
いやはや、長年横浜ファンなんてものをやっていると偏屈な性分になってしまうもの。肝心のシーズンについては未知数だが、これまでのDeNAの姿勢には感謝したい。どうせ元から踊る阿呆と見る阿呆。勢い余ってそろそろ中畑監督の“例の掛け声”にも乗っかってもいいんじゃないかと思えてきてしまったので、御礼かねがね試しにやってみる。
「熱いぜ~! 横浜DeNAベイスターズぅ~~~~!」
今のところは。