濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
“格闘ネイティブ”世代が台頭!
日本の格闘界は、どう変わるのか?
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph bySusumu Nagao
posted2011/12/31 08:01
2011年12月9日に行なわれた、Krush YOUTH GP2011で王者となった野杁正明。彼は2009年のK-1甲子園で高校1年生でチャンピオンとなり、一躍注目を浴びた、若手でも輝かしい経歴の持ち主である。写真は2011年6月25日のK-1 WORLD MAX 2011でのもの
身近には常にあこがれの“メジャー格闘技”があった。
またこの世代には、常に身近に“メジャー格闘技”があった。彼らが生まれたのは1990年前後。格闘技をメジャーに押し上げたK-1は1993年の旗揚げだ。小学校高学年から中学生の頃には桜庭和志がグレイシー一族を立て続けに破り、K-1 MAXとともに魔裟斗がブレイク。山本“KID”徳郁や須藤元気の活躍も少年(少女)時代に見ていることになる。
格闘技のプロになり、そのことでスポットライトを浴びたり、お金を稼ぐということが、夢であると同時に現実的な目標でもあったのだ。
かつては、格闘技は“食っていけないジャンル”だった。だが上の世代が本当の意味での“プロ格闘技”を確立し、それを見て育った堀口や瀧谷、RENAたちは、強くなることで金銭やステイタスも含め人生すべてが切り拓けることを肌で感じてきたのである。
日本格闘技の“質”のピークはまさにこれから。
現在は決して景気がいいとは言えない業界に逆戻りしてしまったが、彼らは今、後楽園ホールをベースに着実にファンを増やしている。
ましてレベルの高さは保証付きだ。その意味では、日本格闘技の“質”はこれからピークを迎えるのだといっても過言ではないだろう。彼らの中から突出したスターが生まれ、格闘技というジャンルを再び大きなものにする可能性は充分にある。
彼らは“世界”あるいは“世間”に対しても意識的だ。堀口は、最終目標はUFC王座だと明言。RENAは女子格闘技のメジャー化を本気で狙っている。桜庭や魔裟斗、KIDがやってきたことを新時代に再現しようとしているのである。
これから先10年の格闘技界を支え、盛り上げる。そんな役割を、彼ら“格闘ネイティブ”は背負っている。