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『マネーボール』から水島作品まで、
正月必見の“野次馬的”野球映画。 

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村瀬秀信

村瀬秀信Hidenobu Murase

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posted2012/01/02 08:02

『マネーボール』から水島作品まで、正月必見の“野次馬的”野球映画。<Number Web> photograph by WireImage

映画『マネーボール』で主役を演じたブラッド・ピットに勝るとも劣らない二枚目のビリー・ビーンGM(左)。写真は、小児癌研究のチャリティイベントで挨拶を交わした時のもの

やはり『フィールド・オブ・ドリームス』は外せません。

 ひとつは、不朽の名作『フィールド・オブ・ドリームス』('90年・米)。これはもう有名すぎだ。

「野球映画どころか、すべての映画の中でも一番好きな作品。テレビで録画したビデオテープを何百回も観て擦り切れてしまったのでDVDを買い直したぐらい観ています。それでも親父とキャッチボールやるシーンなんて100回中100回泣いていますよ。ブラックソックス事件('19年ホワイトソックスの八百長事件)を扱った映画なら『エイトメン・アウト』('88年・米[日本未公開])の方が詳しいですけど、やっぱり『フィールド・オブ・ドリームス』ですよ」(Number Web『野球クロスロード』の筆者、田口元義氏)

 その他では、アカデミー賞受賞作品では原案賞を獲った『甦る熱球』('49年・米)か。不慮の事故で片足を切断した実在のメジャーリーガー、モンティ・ストラットンの自伝映画だ。同じ原案賞にノミネートされた『春の珍事』('50年・米)は、「木材に反発する薬品」を完成させてしまった博士が、ボールに薬を塗り魔球投手になってしまう面白いSFコメディだが、アメリカの野球映画は日本とは違い、実在する選手を扱った作品が目立つ。

『61*』の野球指導には元巨人のレジー・スミスが。

「ルー・ゲーリッグの『打撃王』('42年・米)、トミー・リー・ジョーンズが演じる『タイ・カップ』('95年・米)、35歳でデビルレイズに入団したジム・モリスを描いた『オールド・ルーキー』('02年・米)もいいですが、イチオシは『61*』('01年・米)。ベーブ・ルースの本塁打記録を抜いたロジャー・マリスの物語ですが、“*”は参考記録ということなんです。記録を巡ってのマリスの悲哀、そしてチームメートのミッキー・マントルとの友情が描かれています。ロジャー・マリス役は、『プライベート・ライアン』で狙撃手役を演じたバリー・ペッパーですが、彼に野球を指導したのが巨人にも所属していたレジー・スミスというのも見どころです」(T-河原さん)

アメリカの野球観がわかる日本未公開作品『Mr.3000』。

 その他、海外の野球映画ではこんな作品が。

「『Mr.3000』('04年・米[日本未公開])です。傲慢で嫌われ者のメジャーリーガーがアメリカの殿堂入りの基準となる3000本安打を達成すると即引退を発表。記録を看板にビジネスを展開するのですが、殿堂入りは果たせていなかった。その原因は正式な記録が2997安打に訂正されていたことだと知ると、47歳で9年のブランクを経て現役に復帰。2本ヒットを打ち最終戦で回ってきた打席でチームの勝利を取るか、個人成績を取るかの選択を迫られるのですが……いろんな意味でアメリカの野球観というものがよくわかる映画ですね」(MLBファン・広瀬さん)

【次ページ】 健さんが中日の監督を演じる『ミスター・ベースボール』。

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