野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
『マネーボール』から水島作品まで、
正月必見の“野次馬的”野球映画。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byWireImage
posted2012/01/02 08:02
映画『マネーボール』で主役を演じたブラッド・ピットに勝るとも劣らない二枚目のビリー・ビーンGM(左)。写真は、小児癌研究のチャリティイベントで挨拶を交わした時のもの
新年あけましておめでとうございます。
お正月。プロ野球選手ですら野球から離れたいと願わずにはいられない、一年で最も野球熱が低くなるこの三が日。シーズン中以上に活躍する屋鋪要を苦笑いで見守っていた恒例のプロ野球選手の運動会も、今年は8日放送だというし、365日野球漬けでいたい人にとっては、パワプロのホームラン競争で時間をつぶすような無益な日々を送っていられることでしょう。
そんな時は野球映画でも鑑賞しては如何か。映画好きの人の間では“野球映画に名作なし”なんて言う向きもあるようだが、どんなに内容がアレなものでも、実在する選手やチームの歴史を知るために役立つ伝記的な映画であったり、往年の名球場や、現役・OB選手がひょっこり登場していたり……と、映画として以外の箇所でも見るべきところは山ほどある。
折しも昨年末から公開しているブラッド・ピットの『マネーボール』が大ヒットを飛ばしている昨今。まだ観ていないセイバーメトリクス好きの人はすぐに映画館へ行くべきであり、「外に出たくない」という低出塁率な人は、過去の野球映画作品のDVDなりを誰かに借りてきてもらい、この正月を野球漬けにしてはどうか。
そんなわけで今回の野次馬は趣向を変えて“プロ野球ファンに聞いた正月に見たい「野球映画」”のご紹介。
つっこみどころはあるが……『マネーボール』は傑作。
まずは舶来の野球映画から。先に挙げた現在絶賛公開中の『マネーボール』はやはり評判がすこぶるよろしい模様。
「現在もアスレチックスのGMを務めるビリー・ビーンのお話。映画の尺だけではどうしてもマネーボールのすべては語り切れてはいないし、史実と微妙に異なる場面もある。マネーボールのおかげで躍進したと言われている2002年も、結局はジト、ハドソン、マルダーの三本柱がいたおかげ、しかもワールドシリーズにも行ったわけじゃない……とか、つっこみどころはあるものの、役者も演出も素晴らしく映画としてはとても面白い。また、'03年に書籍化しているのに映画化するタイミングが遅かったもんだから、現在のビリー・ビーンの野球は盗塁を使ったり、スカウトを認めたりと変わってきているので、映画を見てから今のアスレチックスをみればもっと面白いんじゃないでしょうか」(MLB愛好家・T-河原さん)
この『マネーボール』は、『あ・うん』(1989年)で最優秀助演男優賞を獲った坂東英二級に珍しい野球映画でのアカデミー賞候補と言われているようだが、過去、実際に野球映画でアカデミー賞を獲得した映画は存在する。