野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
『マネーボール』から水島作品まで、
正月必見の“野次馬的”野球映画。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byWireImage
posted2012/01/02 08:02
映画『マネーボール』で主役を演じたブラッド・ピットに勝るとも劣らない二枚目のビリー・ビーンGM(左)。写真は、小児癌研究のチャリティイベントで挨拶を交わした時のもの
健さんが中日の監督を演じる『ミスター・ベースボール』。
「アメリカと日本の野球観の違いがよく表れているのが、『ミスター・ベースボール』('92年・米)。日本の中日ドラゴンズを舞台に高倉健さんが星野監督風の熱血監督を演じていて、ライアル(元中日)風の元ヤンキースの選手が、日本の野球観との違いに戸惑いつつも成長していく物語。当時のホーナー(ヤクルト)やケビン・ミッチェル(ダイエー)みたいに、日本の野球をナメくさっていた外国人助っ人の気持ちってこんなんだったんだろうなと思うのと同時に、ナゴヤ球場や応援歌、敵チームのユニフォームなど、今となっては涙が出るほど懐かしい当時の光景が嬉しい。ちなみに水島新司先生の息子・新太郎も出演しています」(中日ファン・Y岡さん)
『メジャーリーグ』は「WILD THING」が鳥肌もの。
「『がんばれ!ベアーズ』('76年・米)は弱者が強者を打ち破る古典落語みたいなものだけど、その最高形態はやっぱり『メジャーリーグ』('89年・米)。個性的な選手は誰も魅力的だけど、ストッパーのチャーリー・シーンが「WILD THING」で登場するシーンは鳥肌。こんなにスカッとする野球映画はないでしょう。ちなみに『2』('94年・米)で出演したタカ・タナカこと石橋貴明元横浜EA(エクゼクティブ・アドバイザー。'05年に1年契約で就任)は、ベイスターズ初のメジャーリーガー復帰選手というのが個人的な見解です」(横浜ファン38歳・男性)
「韓国の野球映画でもいい作品はあります。『ホームランが聞こえた夏』('11年韓国)は、暴行事件を起こした元プロ野球のスター選手の主人公が、ろう学校の野球部の臨時コーチになって奇跡を起こす話。主人公が元ロッテの愛甲みたいと思っていたら本当に愛甲がプロモーションをしてて驚いた。DVDは3月発売ですけど」(26歳ヤクルトファン)
水島マンガを実写化した『ドカベン』と『野球狂の詩』。
続いて日本の野球映画。ここ最近『タッチ』『逆境ナイン』『キャプテン』『地獄甲子園』『ROOKIES』ら人気漫画作品の実写化が多く行われているが、古くは水島漫画の傑作も映画化している。
「水島漫画の二大巨頭『ドカベン』と『野球狂の詩』(共に'77年)は野球映画の怪作。そのまんまグワァラゴワガキーンの岩鬼役や、殿馬役のピラニア軍団川谷拓三、徳川監督を水島御大自らが演じてしまう『ドカベン』、小池朝雄の鉄五郎を筆頭に、個性的なメッツの面々だけでなく、ノムさんやら豊田泰光やら藤田平など、胃もたれしそうな濃ゆいメンツ揃いの『野球狂の詩』と、いずれも内容どうこうではなくインパクト重視。試合のシーンなんてどうでもいい。水島チルドレンは必見です」(映画ライターN氏)