野球クロスロードBACK NUMBER
国際化の第一歩で揺れた今季のNPB。
投打における統一球対策の結論は?
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2011/12/15 10:30
今オフには1億円増の年俸2億2千万円(推定)で一発サインの契約更改となった内海哲也。統一球の特性をよく活かした投球内容で18勝し、見事最多勝のタイトルを獲得した
飛ばないボールの特性を活かしたヤクルト・館山。
内海が縫い目と革質の変化にアジャストできたとするならば、ヤクルトの館山昌平は、飛ばないボールの特性もうまく利用できた投手のひとりと言える。
シーズン終盤に血行障害で戦線を離脱したものの、チームトップの11勝。防御率はリーグ4位の2.04と安定した成績を収めた彼は、「僕は、統一球の恩恵を受けたひとりですね」と自嘲しながらも、ボールがもたらした効果をこう話していた。
「『ホームランだ』と思った打球でも外野フライになることが多かったですから。ピッチャーからすれば、長打を意識せずに大胆に投げられたのはとても大きかったですね」
打者は、館山が言うように、投手の、そして統一球の術中に見事にはまってしまった。昨年27人もいた3割打者が今年は9人と激減したことが、ひとつの証左に挙げられる。
失速する打球に悩まされた、中距離打者メインのロッテ。
「ホームランバッターが不利だって言われていますけど、中距離打者のほうが影響はあったんちゃうかな? って思います」
そう語るのは、ロッテの今江敏晃だ。昨年、リーグ3位の3割3分1厘と高打率を残したが、今年は2割6分9厘と低迷。統一球に頭を悩ませた選手のひとりだった。
「僕なんかもそうなんですけど、右中間、左中間への二塁打で打率を稼ぐバッターって多いと思うんです。でも今年は、外野の間を抜けないんですよ。『抜けた』と思っても打球が急に失速して捕られたり。あれは、間違いなくボールの影響やと感じましたね」
今江をはじめ、中距離打者が多くいるロッテも当然、苦しんだ。昨年はリーグトップの2割7分5厘だった打率も、今年はリーグワーストの2割4分1厘。日本一から最下位に転落するなど辛い1年となった。
去年との違いに対応できなかった阪神は、本塁打が激減。
チームでいえば、阪神も統一球の煽りを受けたチームだった。
今年は打率2割5分5厘、1206安打はリーグ1位。得点も同2位の482点を記録したものの、12球団トップの打率2割9分、740得点、1458安打と圧倒的な破壊力を誇った昨年と比較すると、どうしても見劣りしてしまう。なにより、本塁打数が93本も激減した現実を目の当たりにしてしまうと、統一球が4位に低迷した原因のひとつだったと判断せざるを得ない。
「外野の間を抜ける打球が少なくなったこともそうですけど、去年までと違って、今年は打ち勝つ野球ができなかったことが結果にも繋がってしまったと思います」
鳥谷敬は、Bクラスに甘んじたチームをこのように振り返った。その彼も、打率こそ2年連続で3割をマークしたが、本塁打は14本減の5本と、長打力を存分に発揮することができなかった。