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MLBのプレーオフを前に改めて考える、
「ワイルドカード」制度が成功した理由。 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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posted2011/09/20 10:30

MLBのプレーオフを前に改めて考える、「ワイルドカード」制度が成功した理由。<Number Web> photograph by Getty Images

バド・セリグ、MLBコミッショナー。今季、ワイルドカードの拡大は見送ったが、来季は2チームから4チームへ増加したい意向を表明している

リーグ1地区制でプレーオフを実施することの問題点は?

 特にNPBの今シーズンはその顕著な例で、このままいけばセ・パ両リーグともに勝率5割前後という極端に弱いチームまでがプレーオフに進出する可能性もある。

 さらに言うならば、今シーズンの3位チームが終盤に調子を上げてゆき、昨年同様、再び逆転日本一を達成するようなことが起これば、選手、ファンの中に「公式戦の成績は何だったのか?」という拭いきれない不満が沸き上がったとしても仕方がないことだろう。

 それもこれも、すべてはNPBのプレーオフが1リーグに1地区という制度で実施されているからに他ならない。そのため“リーグ優勝チームが日本シリーズ出場権を得る”という大前提を遵守することができないのだ。

 米国のNBAやNHLだと、成績に関係なく2つのカンファレンス(MLBにおけるリーグとほぼ同義)における上位8チームが自動的にプレーオフ出場権を得ることができる。そして、NBAファイナル、NHLのスタンレーカップに出場できるチームは、あくまで同じカンファレンスに属するチーム同士が戦うカンファレンス決勝戦で決まるようになっている。ファンも納得できるように、きちんと“棲み分け”ができている。

“下克上”ではなく、“逆転劇”を生み出す制度。

 話をMLBに戻そう。

 ここに1995年以降昨年までの両リーグのワイルドカード出場チームを表にしてみた。この全32チーム中でワールドシリーズに進出したのが9チーム存在し、そのうち1997年と2003年のマーリンズ、2002年のエンゼルス、2004年のレッドソックスがワールドシリーズを制している。だがそれは“逆転劇”ではあっても、決してロッテのような“下克上”ではないのだ。

●歴代ワイルドカード出場チーム一覧
シーズン ア・リーグ ナ・リーグ
1995 ヤンキース(79勝65敗・3位) ロッキーズ(77勝67敗・4位)
1996 オリオールズ(88勝74敗・4位) ドジャース(90勝72敗・3位)
1997 ヤンキース(96勝66敗・2位) マーリンズ(92勝70敗・2位)
1998 レッドソックス(92勝70敗・2位) カブス(90勝73敗・4位)
1999 レッドソックス(94勝68敗・4位) メッツ(97勝66敗・4位)
2000 マリナーズ(91勝71敗・3位) メッツ(94勝68敗・4位)
2001 アスレチックス(102勝60敗・2位) カージナルス(93勝69敗・1位タイ)
2002 エンゼルス(99勝63敗・3位) ジャイアンツ(95勝66敗・4位)
2003 レッドソックス(95勝67敗・3位) マーリンズ(91勝71敗・3位)
2004 レッドソックス(98勝64敗・2位) アストロズ(92勝70敗・4位)
2005 レッドソックス(95勝67敗・2位タイ) アストロズ(89勝73敗・3位)
2006 タイガース(95勝67敗・3位) ドジャース(88勝74敗・2位タイ)
2007 ヤンキース(94勝68敗・3位タイ) ロッキーズ(90勝73敗・2位)
2008 レッドソックス(95勝67敗・3位) ブルワーズ(90勝72敗・3位)
2009 レッドソックス(95勝67敗・3位) ロッキーズ(92勝70敗・3位)
2010 ヤンキース(95勝67敗・2位) ブレーブス(91勝71敗・3位タイ)
※ 太字はワールドシリーズ進出チーム
※ 括弧内は公式戦の成績とプレーオフ出場4チーム中の順位

【次ページ】 ワイルドカードのチームも胸を張れる成績を残している。

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