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去就が噂されるイチローと松井秀喜。
チーム内での立場はどうなってる?
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byKYODO
posted2011/09/19 08:01
11年連続200本安打に黄信号が灯るイチローだが、その一方で盗塁王の可能性が高くなってきているという嬉しい数字も。松井秀喜はGMのビリー・ビーンが残留に前向きという報道が出るなど、後半戦の好成績で良い雰囲気になりつつあるのだが……
2011年のメジャーリーグもいよいよ終盤、プレーオフ進出に向けてまだまだ予断を許さない状況が続いているが、すでに脱落しているチームは早くも来季のことが話題になっている。
そこで気になってくるのが、日本人選手の去就だ。特にイチローと松井秀喜については現地メディアからいろいろな憶測が出ている。
まず、シアトルでは2012年のシーズン終了とともに契約が満了となるイチローについて、「マリナーズは2013年以降、イチローについてどんな判断を下すのか?」というトピックが目立つようになってきた。
基本的に、マリナーズは2013年以降も残留を望むと思う。
しかし、今年の10月22日でイチローは38歳になり、打率3割に満たないベテランに対して、とても大金は払えないというのがアメリカ的な発想だ。契約を結んだとしても、単年、もしくは2年でお値段控えめが基本線。
ただし、この10年間、イチローはマリナーズに多大なる貢献をしてきたわけだから、その分を考慮に入れての契約交渉になるのではないか。
イチロー契約更新の処遇はジーターがモデルケースに?
参考になるのは昨季オフ、ヤンキースと契約更新をしたジーターのケースだ。
ジーターは日本的な学年計算で言えば、イチローの1学年下で今年の6月で37歳になった。昨季は打率2割7分と衰えを見せ始めていただけに、ヤンキースがどんな契約条件を提示するか注目されていた。
契約交渉の途中で球団側が交渉内容を漏らしたことにジーターが不快感をあらわにしたが、最終的には3年間で5100万ドル保証、4年目はジーターがヤンキースでプレーするかどうか選択権を持つ「プレーヤーズ・オプション」がつく契約となった。ジーターは少なくとも39歳までヤンキースでプレーすることになっているのだ。
ヤンキースの主将であり、長年チームの核として活躍してきたジーターだが、2011年の年俸についてはアレックス・ロドリゲス、サバシア、テシェーラ、バーネットについでチーム5番目に甘んじた。彼にとっては決して愉快な状況ではないだろうが、ベテランにしては安くはない。球団がこれまでのジーターの活躍に敬意を表したということだろう。