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ザックが追い求めたトップ下の“幻影”。
本田不在の苦境を乗り切るためには?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2011/09/17 08:01
「個人的にもトップ下で先発しましたが、ポジショニングや簡単なボールロストでなかなか上手くリズムに乗れずチームに迷惑をかけてしまったなと思っています」と自らのブログに記した長谷部誠
本田不在の日本代表はいかにして予選を戦うべきか?
しかしながら、本田がすぐ戻ってくるわけではない。
膝を手術した本田の長期離脱はやむを得ない。最悪の場合、10月のタジキスタン戦(ホーム)、11月のタジキスタン戦、北朝鮮戦のアウェー2連戦と計3試合、本田抜きで戦っていかなければならなくなる。本田不在の問題をやはりクリアにしておく必要があるのだ。
案としてはいくつかある。まず、ポストプレーを重んずる従来のやり方をそのまま踏襲したうえでの「トップ下・香川」だ。
現在、清武弘嗣を2列目に起用して香川をトップ下に置く後半のオプションが機能しているが、これは相手の疲労やスペースが生まれることでこのオプションが活きたという見方もできる。トップ下が収まる中央は相手のプレッシャーも激しいだけに、相手を背負うプレーばかりが多くなると香川の持ち味が活きてこない可能性も出てくる。この場合、1トップが重点的にポスト役を意識する必要があるだろう。あるいは前田が戻ってくれば、香川をそのまま左サイドに置いてトップ下に李を置くという手もある。ウズベキスタン戦での李はポストプレーを強く意識していたし、北朝鮮戦よりもパフォーマンスは良かった。前田との縦の関係でポスト役の比重が減れば、彼本来の持ち味が活きてくるのではないか。
また、本田とは異なるタイプである柏木のタレント性を活かして4-2-3-1の戦法をマイナーチェンジしていく方法もあるだろうし、独特な攻撃リズムを持つ家長昭博のトップ下起用というのも面白い。それに別の考えをするならば、トップ下を置かない4-3-3、3-4-3というオプションも考えられる。4-3-3は1月のアジアカップで用いたオプションであるし、3-4-3は6月のキリンカップ以降、本格的な取り組みに入っている。選択肢はいろいろとある。
ピンチではなく、チャンス――。
「表情を変えられるチームでありたい」と語る指揮官にとっては、オプションをしっかりと確立でき、チームとしての幅を広げられる好機でもあると言っていい。
10月にはチームのどんな「表情」をザッケローニは見せてくれるのだろうか。