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異次元の速さを発揮する
スペインの至宝に注目せよ。
~モト2クラスの逸材、M・マルケス~
text by

遠藤智Satoshi Endo
photograph bySatoshi Endo
posted2011/08/10 06:00

ルックスの良さもあって人気は急上昇中。スペイン勢絶好調の時代はまだまだ続きそうだ
今シーズンからモト2クラスに参戦しているM・マルケスが、ようやく本領を発揮し始めている。
昨年、125㏄クラスで果たした17歳での王座獲得は、クラス史上2番目、スペイン人としては史上最年少の早さだった。シーズン12回のPP獲得は、最高峰クラスのM・ドゥーハンに並ぶ大記録だ。
大きな注目のなか始まった今シーズンだが、開幕から3戦連続転倒を喫し、再スタートを切った第3戦ポルトガルGPの21位が最高位だった。しかし、第4戦フランスGPで初優勝を遂げたあとは、転倒を重ねながらも徐々に実力を発揮し始め、第7戦オランダGPからは破竹の3連勝を達成。勝つごとに速くなり、速くなることでさらに勝ち星を増やすという素晴らしさだ。
前半戦を終え、総合ポイントでは2位。シーズン序盤のとりこぼしで、同世代のライバル、S・ブラドルにリードを許しているが、ポテンシャルは同クラスのナンバー1という評価を受けている。
師匠であり育ての親である元125ccチャンピオンのE・アルサモラは、モト2クラス2年目にチャンピオンを獲得して2013年にはモトGPクラスへ、という青写真を描いている。
3クラスを制覇したV・ロッシを彷彿させるサクセスストーリー。
母国スペインでは“至宝”といわれ、今年はカタルーニャ銀行とレプソルがメインスポンサーにつくなど、将来は明るい。スペインの先輩ライダー、D・ペドロサ、J・ロレンソに続く逸材として大きな期待を集めている。
マルケスの才能に異論を挟む者はもはやいない。速く走るための頭の良さも申し分ない。シーズン前半戦を締めくくるドイツGP、テクニカルコースとして知られるザクセンリンクでポール・トゥ・ウィンを達成した彼は、その勝因をこう語った。
「こういうサーキットで、重くて大きいモト2マシンをどうしたら速く走らせられるかを学んだ。決勝では他の選手に比べて僕の方がタイヤが持つことがわかっていた。だから、中盤まではみんなの走りを見ていたんだ」
最初は転び、転ばなくなったときに勝ち始める。125cc時代もそうだが、マルケスのサクセスストーリーは、3クラスを制覇したV・ロッシを彷彿させる。恐るべきルーキーである。
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