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From:ソウル(韓国)「日本サッカーに一刻も早くメスを」 

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杉山茂樹

杉山茂樹Shigeki Sugiyama

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photograph byShigeki Sugiyama

posted2004/07/26 00:00

From:ソウル(韓国)「日本サッカーに一刻も早くメスを」<Number Web> photograph by Shigeki Sugiyama

韓国女性は整形していることが多いとか。

しかし、いま最も整形の必要性を感じるのは

オマーン戦でぶざまな姿を晒した日本代表だ。

 隣の列の女性が小脇に抱えているパンフレットが、ふと目に止まった。「韓国ドラマの旅」。仁川空港のイミグレーションには、どう見てもサッカーファンより「ヨン様」ファン風の女性の方が数多く並んでいた。

 ソウルの街もそんな日本人女性を歓迎するムードに包まれていた。「冬のソナタ」「ヨン様」の日本語があちこちに溢れ、日本語を話す人の数も以前よりだいぶ増えた気がする。ブームを感じずにはいられない。

 ソウルといえば眼鏡屋。どこよりもお買い得感が高いので、さっそく眼鏡屋が軒を並べる南大門マーケットに出かけてみると、いるわ、いるわ、ヨン様が。眼鏡屋の店頭には、こぞって、彼のポスターが大きく掲げられていた。広告のように。日本では、明らかに著作権法違反に問われる行為も、ソウルでは頓着なくまかり通っている。

 まっ、僕もそれにつられて、眼鏡を2つばかり、新調してしまったわけだが、そのピカピカの眼鏡越しにいくら目を凝らしても、人混みの中にヨン様似の男性はいなかった。韓国人男性は、概してダメだ。冴えた奴はほとんどいない。ポップ系はゼロに近い。日本人男性だって、比較対象を外に広く求めれば、大抵がバツとなるわけで、けっして威張れたもんじゃないけれど、それでも韓国人男性には勝てそうな気はする。サッカーの関係より優位な立場にある。

 一方、女性はほぼ互角だ。韓国女性の方が目が多少つり上がり気味なので、若干きつく見えるが、お高くとまった感じに見える日本女性と違い、ガードは案外緩い。表情はいたって柔らかだ。表情美人は数多い。そんな話を日本女性軍にすれば「でも韓国の女の人って、大抵整形してるんでしょ」と、その多くが蔑んだ顔をする。でも、それで世の中の「風景」が、ずいぶん美しくなることは事実なわけで、奥さんとか、彼女とか、直接自分に関係した人が、不細工から超美人へと大変身していたなら、それはそれで考えちゃうけれど、99.999%は風景に過ぎないのだ。だったら貴方も整形したらと切り返したくなる。そういう見方も出来ると言うわけだ。

 しかし、日本で整形手術の必要性を最も感じるのは女性ではない。一にプロ野球。そして二にサッカーの日本代表だ。アジア杯の初戦、対オマーン戦を見せられると、その顔はもういい加減に見たくない! メスを入れろ! と、声を大に叫びたくなる。

 僕が泊まっているソウルの定宿では、多少映りは悪いながら、NHKのBSを見ることが出来る。夜7時。だから僕は重慶で行われたその試合に目を凝らした。

 酷いなんてもんじゃなかった。日本サッカー史に残る汚点と言っても言い過ぎではない。僕が大沢親分なら「喝!」と、即座にわめき散らしていたと思う。ある日本のスポーツ新聞には当日「引いて構える相手をどう攻略するか」なんて記事が出ていたが、引いて構えたのはどっちだと言いたい。5人でべったり自軍ゴール前に張り付いてれば、ボールを奪った所で、攻撃なんて出来るはずがない。「相手に一方的に押されたように見えるが、日本の最終ラインの守りは堅かった」とコメントした(らしい)我が監督には、呆れるばかりだ。この人の感覚はおかしい。明らかに。日本でサッカーは、人口1億3千万人の日本人が、野球に次いで関心を寄せる人気スポーツだ。対するオマーンの人口はうん百万。しかも選手の平均年齢は20歳そこそことくる。そこに一方的に支配されて恥ずかしくないのだろうか。もしオマーンのミラン・マチェラ監督が、日本代表監督なら、軽く3−0で片づけていただろうし、逆に、ジーコがオマーンの監督なら0−6で負けていたに違いない。

 てな事を思いながら、ソウルのワールドカップ競技場に出かけてみれば、山本監督も、ジーコと瓜二つの戦い方をした。試合は0−0だったが、そのサッカーに発展性は見込めない。困ったことだ。いったい彼らには、外国から物事を学ぼうとする意欲があるのだろうか。ユーロ2004は見ていたのだろうか。とにかく、一刻も早くメスを入れないと、サッカー界もプロ野球の二の舞になる恐れは大いにある。超心配だ。

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