EURO2004 ポルトガル日記BACK NUMBER
人類の進化と、サッカーの変化と
text by
カイ・サワベKai Sawabe
photograph byKai Sawabe
posted2004/06/28 00:00
イタリアが“長靴”の形なら、ポルトガルの国の形は“人の横顔”、それもけっこう端正な男の顔だ、と思う。リスボン西方、大西洋に突き出すあたりが「鼻」の部分。イベリア半島全体まで範囲を拡げると、ポルトガルを横顔の部分にして、スペインは風になびく髪の形のように見える。長髪のおサルのようではあるが・・・・。
10年くらい前までのポルトガル人の体格というと、「小さくて丸っこいズングリムックリ」と言うイメージだった。しかし代表のロナルドなど若手を見ると、フィーゴやルイ・コスタに比べてもスラッとしていて、「これがポルトガル人?」と首を傾げたくなる。もっとも彼らはポルトガルでも「新人類」と呼ばれているそうだ。人間は猿から進化してきたが、ポルトガル人の体格の変異を見ると、「さらに進化している」と感じざるを得ない。
昔からのサッカーを知っている人間からは、今現在のサッカーについて「スピードと体力に頼りすぎる」「優雅さがない」等の非難、苦情もあるが、サッカーはその時代ごとに、常にスピーディーでスマートでそれなりに華やかなものだ、と個人的に思っている。サッカーの変化に併走するように、スタジアムも時代のサッカーに似つかわしい、モダンなものにドンドン変わっている。
グループ予選最終日は、これまでの取材のご褒美(??)で、オランダvsラトヴィア戦をブラガ・スタジアムで観戦した。僕は、サッカーを本当に楽しみたい時は「絶対にゴール裏、それも立ち見」、と決めている人間である。ところが、この試合が行われたブラガのスタジアムは超・モダンなデザインで、ゴール裏にあるのは、岩肌と土手。スタンドはない。まぁ、しょうがないか・・・。
禁止されているチケット売買の場面をポリスに見つかり、しょっ引かれながらもダフ屋から買ったのに、席はもちろんタッチライン側。それも、ラトヴィア・ブロックに入れる筈だったのに、周りはオランダの大男ばかりだ。
いいシーンになると、大男たちは立ち上がって試合は見えなくなる。「飛び上がって喜ぶ」等の表現があるように、人間、興奮すると立ち上がる。サッカーを「座ってみろ」、と言うこと自体に無理がある。「“安全の為”サッカーを座って見ろ」、とのたまうFIFA,UEFAは、自分の責任逃れで一部ファンの大きな楽しみをも奪っている。
それにしても以前はサッカー観戦の際、アレルギーの僕は周りのタバコの煙に閉口したものだが、この夜はあまりそれも気にならなかった。オランダは、この6月1日から、「閉鎖された公の空間での喫煙」が法律で禁止される、アイルランドについで世界で2番目の国になった。当然、アヤックス・アレーナにも、その法律は適用されるはずだが、早くもファンたちは喫煙を自重し始めたのか?
サッカーもスタジアムも、日に日に進化する。しかし、それ以上のスピードで変わっていくのは、サッカーを取り巻く環境だ。