Column from GermanyBACK NUMBER
頼りにならない守備陣。
text by
安藤正純Masazumi Ando
photograph byGettyimages/AFLO
posted2005/09/13 00:00
賢人ネッツァーが怒っている。「ひじょうに経験不足の選手がいる。守備陣の毎度の破綻は早急に改善されなければならない問題だ。だが私は何度、この点を指摘し続ければよいのか」
皇帝ベッケンバウアーは堪忍袋の緒が切れた。「GKのローテーション制など続ける意味はない。なぜ今、どちらにするか決められないのだ。最後尾が不安定ではDFも安心できないじゃないか」
スロバキアに0−2で完敗。4日後の南アフリカ戦は4−2で勝利。代表チームが相変わらずピリッとしない。なんだか、大きく膨らませた風船が慌てて萎んでいくような感じがする。
両試合とも、センターDFのメルテザッカーがPKを献上した。コンフェデ杯での活躍が嘘のような調子の悪さが続く。PK以外の失点は、ポッカリと空いた守備の隙間にやすやすと敵を侵入させたもので、数的優位など関係なかった。
もっとも組織プレーを心がけなければいけない危険地帯で、マークを外したり、振り切られたりと、初歩的な失敗を犯しているのだ。南ア戦の失点は、追加点をあげた1分後。こちらは油断が自らに墓穴を掘った形だ。
クリンスマン監督は今回も新人をデビューさせた。ヤンセンとシンキエビッツ。2人とも19歳のDFである。南ア戦に起用された4DFの出場回数は1、14、7、1と、経験が重視されるポジションなのに頼りない数字が並んだ。
メンバーを固定できないのか、それともしないのかは監督しか分からないことだが、手駒の少なさとクオリティが気になる。代表歴66回のベテラン、ベルンスは耐用年数が過ぎているからもう使いたくない。ヒンケルはリーグ戦を見る限り代表レベルから遠い。30回選出のフリードリヒは完全にレギュラーを取れない。オボモエラは世界レベルの選手に対抗できる器ではない。フートは信頼回復まで、まだまだ時間がかかる。
失点と失態が続くDF陣は試合をするたびに厳しい批判を浴びている。若さとは恐いもの知らずの代名詞だが、それはMFのシュバインシュタイガーとFWポドルスキーにだけ当てはまるものだろう。ほとんど同じ年齢なのに、DFだけが自信と元気を失っているのだ。
今年に入ってからチームの失点数は、コンフェデ以前と以後とで倍の差となっている。元気のなさは失点の多さと比例するのか。
W杯本番まであと8試合。新人発掘の話題はもういいから、早くDFを強化してくれよ、クリンスマン!