Column from GermanyBACK NUMBER
ボルシアパークを訪れて
text by
安藤正純Masazumi Ando
photograph byMasazumi Ando
posted2004/11/11 00:00
今夏、落成したボルシアパークを訪れた。メンヘングラッドバッハの新スタジアムである。駅から実に遠かった。バスしかなくて、20分以上かかる。周囲は人家がポツリ、商店も給油所もない。あるのはクラブハウスと綺麗な芝生グランドくらい。イメージとしては鹿島スタジアムをさらに過疎化した感じだ。
オープン以来、すべての試合が満員札止め。広大な駐車場はまだ整備されておらず、交通手段がバスしかない、というのにだ。
チームは70年代に黄金時代を築いたが、その後の没落は以前のコラムで紹介したとおり。原因は (1)無能な経営陣 (2)人事の決定的ミス (3)小さすぎたスタジアム、が挙げられる。
このうち(1)は役員入れ替えで改善されつつある。(2)はいまでも論議の的。(3)は劇的に変化、こちらは表彰状ものだ。
建設費130億円はアレーナ・アウフ・シャルケの180億円よりかなり安いが、値段の差はしっかりと出ていた。要するに作りがちゃちいのだ。VIP席とビジネスラウンジには十分金をかけているけれど、ほかはそうじゃない。パイプは細いし、建物全体が薄っぺらだ。
でも、よしとしよう。少なくても以前のベーケルベルクより数百倍は改善されたのだから。
ところでチームのパフォーマンスだが、これがなんとも心もとない。ケペル臨時監督の指揮下、バイエルン戦を2−0で勝利したのはルシオが退場(主審の判定ミス)したおかげだった。しかし奇跡は2度も起こらないものだと心得たほうがよい。ノイビルとハインツがいなければ降格間違いなしのチームだろう。
そんなチームに新監督が就任した。ディック・アドフォカート、そう、あの地元オランダでマスコミから徹底的に嫌われている規律主義者だ。2週連続でボルシアMGを見たが、あれれ?バイエルン戦より明らかにヘボになってるじゃないか。
新監督選びでクラブ幹部は「監督は絶対に大物じゃなければいけない」と、指導力より名声にこだわった。アドフォカートはその意味で幹部の物差しには合っているだろう。でも思い出してほしい。今夏のユーロ、チェコ戦の敗因はアドフォカートがロッベンを交代させたからじゃなかったけ。
(2)を忘れちゃいけませんよ、幹部も監督も。