MLB東奔西走BACK NUMBER
ショートがツインズの未来を左右する。
復帰した西岡に求められる役割とは?
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byGetty Images
posted2011/06/27 10:30
6月18日のパドレス戦では7番・ショートで出場。4月に怪我をしたセカンドでのクロスプレーも落ち着いてこなし、守備でチームに貢献した。試合は1-0でツインズが勝利している
ショートを中心としたガーデンハイアー監督の野球哲学。
下記の表はガーデンハイアー氏が監督に就任した2002年以降のチーム順位、守備率並びにショートの成績を列記したものだが、ある傾向が見て取れる。
2002年以降のツインズのチーム成績と遊撃手の主な成績 | |||||
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シーズン | 地区順位 | チーム守備率 (リーグ順位) |
選手名 | 個人成績(守備率) ※は備考 |
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2002 | 1位 | .987 (1位) |
C・グーズマン | 147試合 打率.273 9本塁打 59打点 (.981) ※チーム2位の170安打 |
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2003 | 1位 | .985 (2位) |
C・グーズマン | 141試合 打率.268 3本塁打 53打点 (.980) ※チーム1位の18盗塁 |
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2004 | 1位 | .984 (4位) |
C・グーズマン | 145試合 打率.274 8本塁打 46打点 (.983) ※チーム2位の158安打 |
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2005 | 3位 | .984 (6位) |
J・バートレット | 68試合 打率.241 3本塁打 16打点 (.979) ※主力選手中最少出場数 |
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2006 | 1位 | .986 (2位) |
J・バートレット | 99試合 打率.309 2本塁打 32打点 (.971) ※主力中3位の打率 |
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2007 | 3位 | .984 (7位) |
J・バートレット | 138試合 打率.265 5本塁打 43打点 (.960) ※主力選手中ワースト3位の打率 |
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2008 | 2位 | .982 (10位) |
N・プント | 98試合 打率.284 2本塁打 28打点 (.978) ※主力選手中最年長 |
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2009 | 1位 | .987 (2位) |
O・カブレラ | 57試合 打率.289 5本塁打 36打点 (.959) ※主力選手中最少出場数 |
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2010 | 1位 | .987 (2位) |
JJ・ハーディ | 100試合 打率.268 6本塁打 38打点 (.976) ※主力選手中ワースト3位タイの打率 |
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2011 | ― | .982 (12位) |
― | ― |
それは、2009年のオルランド・カブレラ以外(この年はショートを固定できずシーズン途中でカブレラをアスレチックスからトレードで獲得している)、地区優勝した年は基本的にショートが攻守ともに安定し、と同時にチーム守備率がリーグ上位にランクされているということだ。
今シーズンのツインズがここまで苦戦を強いられているのは、西岡はじめジョー・マウアー、ジャスティン・モーノーなど、主力選手が次々に負傷離脱したのが主な要因ではある。だが、チーム守備率が下位に低迷していることでもわかるようにガーデンハイアー監督が求めるショートがいなかったのも原因のひとつだったといっていい。
ただ今回の決定は、西岡以上に攻守ともにショートで機能しなかったカシーヤを甦生させるという意味合いが強い(現にカシーヤはセカンドに移ってから打撃好調ですっかり別人に変貌している)。ただ、あくまで西岡はショートとしてガーデンハイアー監督にテストされている段階であり、彼も結果を残すことができなければカシーヤの二の舞になってしまうだろう。