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ショートがツインズの未来を左右する。
復帰した西岡に求められる役割とは? 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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posted2011/06/27 10:30

ショートがツインズの未来を左右する。復帰した西岡に求められる役割とは?<Number Web> photograph by Getty Images

6月18日のパドレス戦では7番・ショートで出場。4月に怪我をしたセカンドでのクロスプレーも落ち着いてこなし、守備でチームに貢献した。試合は1-0でツインズが勝利している

 左腓骨骨折で長期離脱していたツインズの西岡剛選手が、6月16日のホワイトソックス戦で61試合ぶりに復帰した。

 メジャー挑戦1年目の西岡。新しい環境の中、自分のルーティーンすら確立できていない状況で起きた4月7日のアクシデント。それだけに、西岡からすれば新たな“開幕”を迎えた気分だったのではないだろうか。

 復帰前後で大きな変化があった。開幕からセカンドを任されてきたが、復帰後は古巣のショートにコンバートされた。

 西岡の離脱中にロン・ガーデンハイアー監督は、復帰後はショートとセカンドとの併用を明言していた。しかし、どうやら今シーズンはショートを任せるはずだったアレクシ・カシーヤをセカンドに固定することになりそうだ。そうなると必然的に西岡はショートでプレーせざるを得なくなる。

チームの命運を握る、二遊間の入れ替え。

 実はこの決定、今シーズンのツインズ、いや今後数年間のツインズの行方を左右するほど大きな出来事だったのだ。

 それを理解するためには、まずガーデンハイアー監督の哲学を説明する必要がある。

 5月27日のエンゼルス戦を前に監督が地元報道陣相手に熱弁を振るった一部を抜粋したいと思う。

「自分の経験上、ショートがリーダーだ。内野陣をリードし、試合をコントロールするのがショートだと思っている。確かにセカンドもリーダーになれるが、どちらかといえば仲介をする立場で試合全体を見渡せるのがショートだ。ただ自分の守備をするだけでは本当の意味でショートの役目をこなしていないことになる」

 改めて補足を加える必要もないが、ガーデンハイアー監督が目指す理想のチームは確固たるショートを置いている。野球界では守備におけるセンターラインの重要性は通説になっているが、監督はその中でもショートがリーダーだと断言しているのだ。

 今年のキャンプ初日にツインズが“Good Morning America”と呼ばれるチーム伝統の地獄のノックを30分以上行なったが、日本でも話題になったのを憶えているだろうか。今回の二遊間入れ替えはそんな守備重視のツインズで、西岡がリーダーに抜擢されたことを意味するのだ。

【次ページ】 ショートを中心としたガーデンハイアー監督の野球哲学。

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