北京五輪的日報BACK NUMBER
重厚長大あるいは引田天功。
text by
竹田直弘Naohiro Takeda
posted2008/08/09 00:00
3万発の花火を使用した開幕式。アトラクションには計1万4000人が動員されたという。 開会式が終わって、いまMPC(メインプレスセンター)に帰ってきた。時刻は日付かわって夜中の1時。いや長かった。
開始2時間前から会場の「鳥の巣」周辺にいたが、ひとであふれかえるということもなく、特に混乱はなし。1キロぐらい手前から規制していて、鳥の巣に近づくことさえできないからだ。55万人が応募したというスーパープレミアムチケット(定価7万5000円!)を手に入れた幸運なひと以外は、開会式の雰囲気を味わおうと思っても、遠くから花火を眺める程度しかできない。それはメディアも同じで、チケットを手に入れないと、周辺の様子を取材することもできなかった。
セレモニーの感想。さすがチャン・イーモウという演出はそこかしこにあったが、四字熟語で言うと、「重厚長大」(時間がかかった)、あるいは「引田天功」(聖火点火のとこだけですが)。すばらしく華麗で、とんでもなく長いイリュージョンワールドでした。
終盤、会場のあまりの暑さにたまらなくなって外に出る。鳥の巣はとにかく風の抜けが悪く、熱気がこもる。喫煙所に行くと各国の記者多数。みんな考えることは同じみたい。気持ちのよい夜風にあたりながら、ライターのOさんと話す。
「テロ、なさそうですね」「そだね」
花火がポンポーンと上がる。こうして北京オリンピックは幕を開けた。