Jリーグ観察記BACK NUMBER
Jリーグでは、なぜ試合後に
クールダウンをしないのか?
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byMasahiro Ura
posted2009/10/26 08:00
ホームでの試合のみクールダウンが許可された浦和レッズ。こうした交渉は各クラブでも行っていくべきではないだろうか
選手のコンディションよりも芝優先? これがJの現状だ。
試合運営者の立場になって考えると、芝生に細心の注意を払いたいという気持ちもわからないではない。基本的にJリーグのクラブは、自治体からスタジアムを借りている身だ。自前のスタジアムならば、芝生が荒れても自己責任だと腹をくくれるが、借り物だとそういうわけにはいかない。なるべくいい状態で返すことが求められ、それゆえに“たった15分”のランニングでも断りたくなる。
だが、これではプロとしての優先順位が間違っていないだろうか。プロリーグが最も大事にすべきは、プレーの質であって、芝生ではないはずだ。いくらイベントを開催したり、有名人のゲストを用意しようが、サポーターがお金を払って観に来るのはサッカーのプレー。プロリーグとして、プレーの質を高めることに最大限のエネルギーを注ぐべきだ。なのにJリーグでは、選手のコンディションより、芝生を優先してしまっている。
スタジアムの運営者は優先順位を再考すべき。
15分のジョギングによる芝のダメージなど知れている。警備員の時給が余計にかかるかもしれないが、サポーターへの試合後のサービスと捉えれば、その分の予算をあらかじめ計上することも可能だろう。
もちろん全てのチームがクールダウンをする必要はない。採用するか、しないかは、各監督の好みの問題だ。だが、監督がやりたいと思ったときに、やれないのは絶対におかしい。
いま一度、各スタジアムの運営者は頭を柔軟にし、優先順位を考え直すべきだろう。