日本代表、2010年への旅BACK NUMBER
鹿島オリヴェイラ監督の“魔術”を、
日本代表の南ア対策に導入すべき!
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byToshiya Kondo
posted2009/12/12 08:00
鹿島のコンディショニング・ノウハウを日本代表へ!
この鹿島アントラーズの成功を、日本協会はもっと注視すべきである。
ジーコジャパンのドイツW杯惨敗を検証した日本協会のレポートには「(本大会前の)ドイツ戦にピークが来てしまった」とコンディション調整の失敗を理由のひとつに挙げている。当時の田嶋幸三技術委員長はこうも語っている。
「どんなにコンディションが悪くてもアジアでは何とか勝つことができた。しかし、W杯では通用しなかった」
そう総括したはずなのに、現在の岡田ジャパンにフィジカル専門のコーチもいなければ、コンディション調整の専門コーチもいない。
確かに、岡田武史監督は歴代の監督と比べても、コンディション調整に長けている指揮官ではある。本大会までのスケジュールに気を配り、「2002、2006年に比べて強化の日程が2週間ほど短いけど、選手たちの休みを優先させなきゃならない」と選手のコンディションに神経を使っているのが分かる。アジア予選では、ほぼケガ人をつくらずに乗り越えてもきた。そのマネジメント能力は評価されていい。
しかし、ドイツW杯の教訓を活かして万難を排す意味でも、プロ中のプロをスタッフに入れるべきだろう。運動生理学と心理学を専攻し、コリンチャンスの監督を務めるまで20年以上もフィジカルコーチとしてキャリアを積んできたオリヴェイラのような、その道のプロを「特別コーチ」として招聘するのも手である。
極端に環境が変わる南アの試合でこそ最重要な課題となる。
本大会に向けてはロングスパンのコンディション調整が大切であると同時に、その試合の状況に応じた調整も大切になってくる。いくらいいコンディションをつくってきても、試合で最大限に発揮されなければ意味を持たない。
本大会のグループリーグでは第1戦のカメルーン戦、第3戦のデンマーク戦が1500m級の高地で、2戦目のオランダ戦は海沿いでの試合になる。この高低のギャップを苦にすることなく、100%の状態で試合に臨めなければベスト4の野望達成などあり得ない。圧倒的な運動量を前提とした戦術を取っているため、なおさら「限定的な調整」も大事になってくる。
コンディションを制せずして勝利の道はない、と断言しておこう。