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デビルレイズに明日はあるか? 

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李啓充

李啓充Kaechoong Lee

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posted2007/07/02 00:00

デビルレイズに明日はあるか?<Number Web> photograph by AFLO

 今季もデビルレイズが弱い。6月28日現在、首位レッドソックスに14.5ゲーム差の最下位と、例年通り「指定席」の座を占めている。1998年のチーム創設以来、ア・リーグ東地区の最下位(5位)に終わらなかったのは2004年の1回だけ(4位だった)と、同じフロリダ州の新設チーム、マーリンズが、93年の創設以降2回ワールドシリーズを制覇しているのとは際立った対照をなしている。

 デビルレイズというと「貧乏球団」というイメージが強いが、創設当初のデビルレイズはそれなりにスター選手獲得に金を使っていた。特に、2000年の年俸総額6,440万ドルは大リーグ10位、「やる気」を見せていた時代があったのである(大リーグ1位、ヤンキースの年俸総額は9,290万ドルだった)。

 ただ、そのときの「やる気」が結果に結びつかなかったのは、金をかけた方向が間違っていたからだった。98年にマーク・マグワイア、サミー・ソーサの二人がロジャー・マリスのシーズン本塁打記録に挑戦したことが94年のストライキのせいで落ち込んだ大リーグ人気を再興したことはよく知られているが、当時のデビルレイズ・フロントは、「ホームラン打者を集めればチームも強くなるし、客も集まる」と錯覚、「投手力を重視する」というチーム強化の常道を無視して「大砲」を集めることに大金を注ぎ込んだ。

 かくしてフレッド・マグリフ、ホセ・カンセコ、ビニー・カスティーヤ、グレッグ・ボーンの4人で「大砲カルテット」を結成したものの、大枚をはたいて獲得した4人がそろいもそろって看板倒れ、思惑は見事に外れてしまった(2000年、カルテット4人を合わせた総本塁打数は、わずか71本に終わった)。以後、デビルレイズは、大金をかけてスター選手を獲得するという努力を一切放棄、現在にいたっている。

 ちなみに、デビルレイズがチーム創設期に「打」を偏重した伝統は、今もたたっているようで、今シーズン、チームOPS(出塁率と長打率の和)7割6分9厘はリーグ6位とまずまずなのに、被OPS8割2分8厘はリーグ最下位、打は頑張っているのに投手が点を取られて負けるという構造は変わっていない。

 とはいっても、スター選手に大金をかけるかわりにドラフトで有望新人を集めるという戦略は実りつつあり、3年後には強いチームになるだろうと予測する向きは多い。たとえば、『スポーツ・イラストレイテッド』誌は、今年3月19日号でデビルレイズの若手有望選手を称賛、「大リーグ最強チーム、デビルレイズ」と題した2010年用の(架空)表紙まで作ってみせた。また、『ベースボール・アメリカ』誌も、デビルレイズの若手選手の「才能度(talent ranking)」を大リーグ1位と評価、同誌の「有望選手トップ100」には、デビルレイズの選手がメジャー最多の7人(うち投手が3人)も入っている。

 というわけで、「デビルレイズに明日はあるか?」という問いに、私は、きっぱり、「ある」と断言したい。しかも、デビルレイズ(07年の年俸総額 2,410万ドルは大リーグ最下位)に明日が来た場合、ヤンキース(同1億8,960万ドルは1位)、レッドソックス(同1億4,300万ドルは2位)という金満チームに、その2割にも満たない年俸額のチームが一泡吹かせることになるのだから、これは痛快である。

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