サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
奥大介によるW杯グループ詳細解説。
「3つの国との戦い方を語ろう」
text by
奥大介(二宮寿朗)Daisuke Oku(Toshio Ninomiya)
photograph by2010 FIFA World Cup Organising Committee South Africa/AFLO
posted2009/12/07 13:30
勝ち点次第で戦い方が変わってくる対デンマーク。
3戦目の相手は堅守のデンマーク。ここは両者が得ている勝ち点差によって戦い方が変わってくる。もし、日本がカメルーンに勝ち、オランダに引き分けて勝ち点「4」を得て、一方のデンマークがそれより下回っていた場合、デンマークは攻撃的にならざるを得なくなる。オランダ、カメルーンの状況はあるにせよ、守備的チームのデンマークが好戦的になる状況をつくれば、日本にとっては戦いやすくなる。
だが、それはあくまで理想的なシナリオ。日本代表がデンマークにどうしても勝たなければならない状況で3戦目を迎えたとき、組織だった守備でポルトガル、スウェーデンのいるグループを予選突破した相手から得点を奪うのは難しい作業になってくる。
チャンスは多くない。守から攻への切り替えを素早く!
勝負のポイントは攻守の切り替え時だ。
高い位置でボールを奪い、守から攻に移った際に素早く攻撃を仕掛けることが肝心だ。チャンスはそう多くはないだろうが、前線の選手のアジリティーを活かせる攻撃をつくりたい。
北欧のチームの特徴として高さ、強さがあっても、一瞬のスピードにはもろいところがある。何度も切り返す動きで、ゴールに迫ることができるタイプのFWが岡田ジャパンにはいる。繰り返して練習しているアーリークロスから一瞬のスピードでニアに飛び込んで点で合わせるパターンも有効になるだろう。
このデンマークには攻撃的な怖さをあまり感じない。エースである身長193cmのベントナーは1人で打開するタイプではなく、周りとの連係でゴールを奪っていくタイプだ。つまり、高い位置に押し込んでゲームを進められればベントナーの孤立にもつながる。攻から守の切り替え時に注意しながら、高い位置に押し込んでいければ面白くなる。
オランダはもちろんのこと、日本よりランク上位のカメルーンにしてもデンマークにしても難しい相手ではある。しかしながらこうやって考えていくと、日本代表がグループリーグを突破できるチャンスは十分にある。
高地対策でどこまで有利になれるかが全体のカギとなる。
最後に岡田ジャパンがグループリーグを突破するためには、高地対策がカギを握ることも付け加えておきたい。初戦のブルームフォンテーンが1400mの高地で2戦目は海岸沿いのダーバンで0m。そして3戦目のデンマーク戦はルステンブルクに移動して1500mの高地だという。
選手からすれば3試合とも高地であるほうが良かった。何故なら高低差によって、パスの感覚が違ってくるからだ。私もジュビロ磐田でイランの高地での試合を経験したが、ボールが実によく飛んだ。そうするとパスの感覚も変わってくる。ずっと高地での試合であれば同じ感覚でパスを出せばいいのだが、ダーバンを挟むことによって感覚を調整しなければならない。そこがもうひとつの戦いになると思う。[ グループE以外の分析コラムはこちら ]