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キリンカップ セルビア・モンテネグロ戦 理想の戦い方で、ジーコジャパン初タイトル 

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木ノ原久美

木ノ原久美Kumi Kinohara

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photograph byAtsushi Tomura/AFLO SPORT

posted2004/07/16 00:00

キリンカップ セルビア・モンテネグロ戦 理想の戦い方で、ジーコジャパン初タイトル<Number Web> photograph by Atsushi Tomura/AFLO SPORT

 「理想的な戦いだった」

7月13日に横浜国際競技場で行われたキリンカップ第3戦で、日本はセルビア・モンテネグロをMF遠藤(G大阪)のゴールで1−0で退け、通算成績2勝で優勝。日本代表監督就任以来初のタイトルを手にした感想を聞かれたジーコ監督は、こう答えた。

大会タイトル獲得そのものよりも、おそらくは、アジアカップへ向けて、チームの仕上がりに手ごたえを感じたことの方がうれしかったかもしれない。

「タフな試合になったが、攻守でバランスがまったく崩れず、積極性も欠けなかった」とこの日のチームのプレーを褒めた。

セルビア・モンテネグロは中盤でボールをつないで積極的に攻撃を仕掛けてきた。ディフェンスも、ひとつ間違えば危険なタックルになりかねないような、ぎりぎりのところで足を出し、MF中村(レッジーナ)やFW鈴木(鹿島)は何度もグランドに倒された。

その相手に、日本は大きなサイドチェンジ織り交ぜて、ボランチも攻撃参加するなど、チーム全体でワイドにプレーを展開。中でも、先日のスロバキア戦にはなかった、スムーズにオーバーラップする動きが随所に見られた。

スロバキア戦では仕掛けのパスの出し手がMF中村だけだったのが、この日の試合では遠藤からも出るようになり、その遠藤と彼とボランチでペアを組む福西(磐田)の二人が適宜攻め上がることで、攻撃のバリエーションが増えた。

「ペナルティボックスの前のエリアが空くので、そこに福西や遠藤が飛び出すことでチャンスになると、ハーフタイムで指示を出した」とジーコ監督。

その指示通り、後半3分の得点シーンは遠藤の“上がり”から。福西が前線の鈴木にボールを出す間に、遠藤が右サイドを縦に走りぬけ、ペナルティボックスの右で鈴木からパスを受ける。そのままボックス内深く持込んだ遠藤を止めようと前へ出てきたGKを冷静にかわし、無人のゴールに丁寧にボールを流し込んだ。9日の試合では周囲とのコンビネーションが今ひとつだった鈴木も、ずいぶん噛み合ってきたようだった。

遠藤は「いいタイミングで上がれた。コミュニケーションも良く取れている。この(調子の)ままアジアカップへ行きたい」と言った。

 ただ、中村はこれらの動きにはまだ偶発的な部分が多いと指摘し、「僕が左右に動いている間に、ボランチがあがっていくとチャンスになっていることが多かった。もっと意図的にやれれば……」と話した。このあたりが次の課題か。

 一方、ディフェンスはメンバーの入れ替わりがあったこともあり、立ち上がりは混乱した。スロバキア戦で負傷リタイアしたDF坪井に代わって田中(磐田)が先発したが、右ウィングの加地(東京)との連係がうまくとれずに、前半は何回かFWラゾビッチらに田中−加地間のスペースをつかれて、ゴール前まで攻め込まれる場面が続いた。また、チーム全体として、相手にフリーでシュートを打たせることが多く、GK川口のセーブに助けられた場面もあった。

 この試合、前回の試合で出た課題をクリアできたという点では評価できる。2試合とはいえ、ひとつの大会に勝てたことも、アジアカップへ向けていい弾みになるだろう。

だが、ディフェンスの問題も含めて、アジアカップへ向けて、修正すべき点は少なくない。ジーコ監督も「全ての部分で精度を上げていく必要がある」と話した。

キリンカップの2試合でチームが見せたような修正を、20日のオマーン戦までの間、あるいはアジアカップ大会中にどれだけ施せるか。大会を通じて成長していく形になれば、タイトル防衛もかなり現実味を帯びてくるだろう。

チームは15日に中国へ向けて出発し、アジアカップ1次リーグの3試合(20日オマーン戦、24日タイ戦、29日イラン戦)を重慶で戦う。決勝は8月7日、北京にて開催される。

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