博多の人・王貞治BACK NUMBER
「日本シリーズの日程、変えられないのか?」史上最大の決戦を前にダイエーの“大失態”で王貞治も激怒…「おたくが勝手にされたことでしょう」
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byKYODO
posted2026/09/30 17:01
根本陸夫の悲願、「福岡ドームと東京ドームでON対決」が現実に近づいてきたとき、ありえない「大失態」が発覚する
1戦、2戦の東京ドームの後、通常なら移動日があるのだが、これを詰めて、福岡ドームで3戦目を移動日なしで行い、2日間空ける。その間に学会を行い、学会3日目の26日は“半ドン”で切り上げてもらい、素早くドームを衣装替えして4戦目を行い、続いて5戦目を福岡ドームで行うと、再び移動日なしで6戦目を東京ドームで行うという、異例の変則日程で各所との調整に入った。
つまり、通常なら「2連戦―移動日―3連戦―移動日―2連戦」のところを「3連戦―2日休み―4連戦」という、前例のない変則スケジュールに組み替えたのだ。
仮にそれができなければ、瀬戸山は「深夜のプレーボール」も覚悟していたという。
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日本シリーズの日程も、学会も通常通りに行う。学会が夕方で終わると、ドーム内の展示などを撤去して、夜半過ぎから試合を行う。試合が終われば、また展示を元に戻す、という作業を繰り返すのだ。
長嶋茂雄も説得してもらい……
その“最悪の想定”を、瀬戸山は巨人の球団代表・山室寛之にも説明したという。
「ON決戦になったら、どんなことをしてでも東京ドームと福岡ドームでやるべき。やらないといけません。長嶋(茂雄)にも言いますから」
瀬戸山によると、山室はダイエー側の不手際による日程変更の周知に関して、巨人側の調整を一手に引き受け「長嶋さんにどんな話をされたのかは知らないけど、一生懸命、長嶋さんを説得してくれたようです」と振り返っている。
「あれだけは本当に助かった」
瀬戸山は、四半世紀以上の時が経った今も、山室への感謝を惜しまない。こうして異例の変則日程ながらも「ドーム開催」が可能になったのだ。
「ONは、やっぱり偉いよ。日程調整ができて、変則でやるということになったら、もう一切、王さんは文句を言わなかった。2勝4敗で負けた、それでも文句言わなかった」
日本シリーズが、異例の変則日程になるという「史上初」の不手際ゆえ、ダイエーはシリーズ後、日本プロ野球史上最高額となる3000万円の制裁金を課されている。
紆余曲折の末、ON決戦が始まろうとしていた。
「俺、あれを見て、震えたッす」
シリーズ開幕を前に、東京ドームに意気揚々と乗り込んだ当時のダイエー正捕手・城島健司が目の当たりにしたのは、ホームベース付近に幾重にも広がった報道陣の輪と、目がくらむほどのフラッシュの光だった。
〈つづく〉

