博多の人・王貞治BACK NUMBER

「出て来て謝れ!」「辞めろ!」王貞治に投げつけられた“生卵”…球史に残る大事件はこうして起きた「すごい屈辱ですよ、世界の王に対して」

posted2026/07/10 11:05

 
「出て来て謝れ!」「辞めろ!」王貞治に投げつけられた“生卵”…球史に残る大事件はこうして起きた「すごい屈辱ですよ、世界の王に対して」<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

球団史に残る悪夢の事件。1996年5月9日の日生球場で、最下位に低迷する王ダイエーのバスをファンが取り囲み、生卵を……

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喜瀬雅則

喜瀬雅則Masanori Kise

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Sankei Shimbun

1995年シーズン、福岡ダイエーホークスの監督に就任して以来30年以上。王貞治の博多での野球人生は、もはやジャイアンツでのそれよりも長くなった。今や常勝軍団となったホークスだが、ここに至る道のりは決して平坦ではなかった。1996年、開幕から最下位に低迷する王ダイエー。敗戦後のバスを、激昂したファンが取り囲んで——。〈連載「博多の人・王貞治」第8回/つづきを読む

 1996年5月9日。

 この日の「近鉄-ダイエー戦」が、日生球場で行われる最後のプロ野球公式戦だった。

 ダイエーは、1回に秋山幸二の2号ソロで先制。しかし、3回に同点とされ、4回には近鉄・中村紀洋、藤立次郎の連続本塁打で勝ち越されると、1-3で迎えた9回、吉永幸一郎の5号ソロで1点差と迫るが、追い上げもここまで。これで4連敗となり、2年目の王ダイエーは開幕から9勝22敗、勝率も3割を切っての最下位に低迷していた。

聞くに堪えないヤジと怒号

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「出て来て謝れ」「辞めろ、サダハル」「お前ら、それでもプロか」

 王が来ても、一向に強くならないダイエーの不甲斐なさに、ダイエーの前身である南海の本拠地だった大阪で、ホークスファンの怒りがとうとう、沸点に達してしまったのだ。

 その2日前、5月7日の近鉄戦でも、ダイエーは4回までに10失点。守備のミスが重なっての4-10の大敗を喫した試合後、宿舎ホテルに戻るために選手たちが乗った2台のバスが、200人近いファンに取り囲まれていた。

 聞くに堪えないヤジと怒号が渦巻く中、王をはじめ、選手たちは窓にカーテンを引き、照明も消した真っ暗な車内で、騒ぎが収まるのをただ、待つしかできなかった。球場から出発できないまま、20分にわたってバスは立ち往生した。

 8日は雨天中止。しかし、その“小休止”もファンの怒りを鎮める時間には短すぎた。

【次ページ】 選手たちはロッカーで待機するも……

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