博多の人・王貞治BACK NUMBER
「日本シリーズの日程、変えられないのか?」史上最大の決戦を前にダイエーの“大失態”で王貞治も激怒…「おたくが勝手にされたことでしょう」
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph byKYODO
posted2026/09/30 17:01
根本陸夫の悲願、「福岡ドームと東京ドームでON対決」が現実に近づいてきたとき、ありえない「大失態」が発覚する
「学会に日程変更してもらったら、一番いいじゃないですか。普通、そうでしょ。そりゃ営業は大変かもしれないですけど、日本シリーズができないのは、それはヤバいでしょ」
「いや、それを何とかできんか?」
「何とか、ってどうするんですか? シリーズの日程は変えられませんよ」
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「そういう話を含めて、コミッショナーとかに相談できないんか?」
正の思いつめたような表情に、瀬戸山も動かざるを得なかった。やむなく、東京のコミッショナー事務局に相談に出向いた。
コミッショナーは関係ないんじゃないですか?
しかし、事務局長の金井義明は、それこそけんもほろろの対応だったという。
「それは、おたくが勝手にされたことですから、コミッショナーは関係ないんじゃないですか? もう、学会をどけるか、どけられないのであれば、球場は別にドームだけじゃないですよね。北九州市民球場もある、長崎ビッグNスタジアムもあるじゃないですか。そっちを押さえたら、いいだけの話じゃないですか? うちは関係ありません」
金井の見解に、疑問の余地は全くない。
ダイエー側のダブルブッキングの問題であって、1球団の事情をくんで、機構側が日程を動かすことなど筋違いも甚だしい。日本シリーズはコミッショナー管轄だから、テレビの放映権やチケットの売上は、コミッショナーの懐事情にも関わってくる。いまさら、1球団の都合だけで、日程をはい、動かしますというわけにはいかないのだ。
「そりゃ、冷たいのも当たり前ですよ。そう言われてしまったから、ちょっと様子を見るしかしようがない。それで、8月になったわけですよ。いよいよ、何となくヤバいなと」
それでも、チームはリーグ連覇に向かって着実に進んでいる。もう隠しているわけにもいかない。瀬戸山は、王に事情説明を行うことにした。
日本シリーズの期間中に、ドームが使えないかもしれません——。
「それはそれで、もう大変やった。最初、ブチ切れたよ。そりゃ、そうですよ」
王の激怒に瀬戸山の策は
王の怒りは、当然のことだろう。
チームは、優勝するために戦っている。日本シリーズは、両リーグの勝者のみが出場できる。その名誉と誇りをかけた舞台だ。その日程に、他のイベントを入れていたのだ。事情がどうあれ、これほどチームをバカにした話もないだろう。
「いや、私は関係ない、中内正の責任、ドームの責任だ、って言えないでしょ。何とかドームでやるようにしないと、20世紀最後にやっとON対決ができたのに、福岡ドームでできないなんて。そのために造ったんだから、格好つかないですよ」
瀬戸山はまず、正に何とかして、学会の日程を調整してもらうようにお願いした。


