博多の人・王貞治BACK NUMBER
「王さんのあんな行動…初めて見ました」痛恨の4連敗で城島健司と小久保裕紀が目を疑った“信じられないシーン”「よっぽど悔しかったんだ、と」
posted2026/09/30 17:03
敗れたときこそ、それを目に焼き付けるのが「王イズム」。だが、2000年シリーズの敗戦後に意外な場面が……
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喜瀬雅則Masanori Kise
photograph by
JIJI PRESS
第2戦、8-3と5点差をつけての9回、4番・小久保裕紀の5度目の打席だった。
当時のスコアシートを見返すと、ファウルの際に私が記す「△」のマークの左横に「痛」と書かれていた。
「もちろん、試合中にしてしまったんですけど、防ぎようはなかったのだろうかと。僕は基本、あまり悔いることはないんですけど、全試合4番として戦って負けたというのじゃなくて、最終戦(第6戦)も出られなかったし、注射も打って痛み止めの薬も飲んだけど、もう全然、パフォーマンスがダメで……。王監督を日本一にするっていう思いで挑んだのに、ケガで主将の自分が勝負できなかった。チームに迷惑をかけた、というのが一番です」
王が見せた執念の采配
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第1戦の9回、メルビン・ニエベスの勝ち越し弾に続き、3番・大道典良が右翼線突破の二塁打を放つと、代走に村松有人が送られていた。逃げ切りを考えれば、5点目が何としても欲しい場面で、1死三塁の状況を作れば、外野フライでも、内野ゴロでも、相手投手の暴投でも点が入る可能性が高まる。ダメ押しの5点目のチャンスは大きく広がってくるのだ。
「あそこは、絶対に1点なんだ」
王は、4番・小久保に送りバントのサインを出した。
これを成功させると、松中信彦が四球の1死一、三塁から、城島健司が「彼の意思」と王も驚いたセーフティースクイズ。本塁で村松は憤死するが「セーフだと思った」と、現役時代を含めて一度も退場処分を受けていない王が、球審の小林毅二に猛抗議する場面もあった。
指揮官の執念が乗り移ったかのように、2死一、二塁から7番・秋山幸二が左前打。決して俊足とは言えない二走・松中が、当時の公称体重94キロの巨躯を揺すって一気にホームイン。小久保のフォア・ザ・チームの姿勢が、チーム全体に伝わっていたかのようだった。


