博多の人・王貞治BACK NUMBER
「僕ら選手は『くそーっ』と思っているのに…」ホークス王貞治は恥辱の“生卵事件”をどう語るか「ただのファンなら、卵なんか投げないんだよ」
posted2026/07/10 11:06
ファンが騒動を起こし、日生球場で待機する王(右)。この後、バスに乗り込むも卵を投げつけられるという屈辱が
text by

喜瀬雅則Masanori Kise
photograph by
Sankei Shimbun
1995年シーズン、福岡ダイエーホークスの監督に就任して以来30年以上。王貞治の博多での野球人生は、もはやジャイアンツでのそれよりも長くなった。今や常勝軍団となったホークスだが、ここに至る道のりは決して平坦ではなかった。1996年、敗戦に怒るファンがチームバスを取り囲んだ衝撃の「生卵事件」について、王本人が口を開いた——。〈連載「博多の人・王貞治」第9回/つづきを読む〉
現在CBO(チーフベースボールオフィサー)の城島健司は、当時プロ2年目。その時、1軍には帯同しておらず、この「生卵事件」を実際には体験していない。後に小久保裕紀の言う“伝説のミーティング”の内容や、球場での惨劇ぶりを克明に伝え聞いたといい、仮にその場にいたらとしたら「先頭に立って、文句言いに行ってるよ」と語気を強めた。
本拠地・みずほPayPayドームの1階に、一塁側選手ロッカーから駐車場まで通じる選手専用の通路がある。城島の発案で、その両側の壁に多くの写真と資料を活用して「ホークスの歴史」を描いたのは、2025年3月のことだった。
南海、ダイエー、ソフトバンクと続く歴史を彩った名選手たちの雄姿や、数々の優勝シーンなどを辿っていくことで、球団のこれまでの歩みが分かるようになっている。
“負の歴史”をあえて記した
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そこに、1996年の「生卵事件」もスペースを取っている。暴徒と化したファンに囲まれて立ち往生するバスの写真に、説明が添えられている。
「王監督就任1年目は5位に終わり、2年目も開幕から最下位に低迷していた1996年5月9日の近鉄戦(日生球場)。敗れた試合後、不満を爆発させて暴走したファン300人がチームバスを取り囲み、王監督や選手めがけて生卵をぶつけた事件」
その“負の歴史”を、城島は毎日、選手たちが目にする場所にあえて記したのだ。

