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《クイーンズ駅伝指導者対談》積水化学女子陸上競技部・野口英盛監督×横田真人コーチ「突出した“個”が共鳴する、異色な優勝候補の挑戦」

posted2026/11/05 11:30

 
《クイーンズ駅伝指導者対談》積水化学女子陸上競技部・野口英盛監督×横田真人コーチ「突出した“個”が共鳴する、異色な優勝候補の挑戦」<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

積水化学女子陸上競技部を率いる野口監督(右)と、共同で強化にあたる横田コーチ

text by

林田順子

林田順子Junko Hayashida

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Takuya Sugiyama

積水化学女子陸上競技部は2020年にTWOLAPSと業務提携を結び、野口監督(積水化学所属)と横田コーチ(TWOLAPS所属)のもと、共同でチーム強化を進めている。今年のクイーンズ駅伝でも優勝候補に挙がるほど力をつけているが、一方で勝利だけが目的ではないという。そんなチームの指導者2人が駅伝とその先にあるビジョンを語り合った。

──今シーズンは新谷仁美選手、山本有真選手、佐藤早也伽選手など、個の活躍が光りました。クイーンズ駅伝に向けて、チームの状況はいかがでしょうか。

野口 正直、私は駅伝がすべてではないと思っているんです。だから駅伝のチームという作り方をしていないし、今はキャプテンも置いてないんですよね。そもそも横田さんが最初に「駅伝で勝ちたい」という想いをチームに持ち込んだ(笑)。

横田 だって「いいよ、勝たなくても」とか言うんですよ。役員の方も新谷と卜部(うらべ)(蘭)をオリンピックに出してくれれば、駅伝は考えなくていいからって(笑)。

野口 積水化学は長期ビジョンのひとつに「挑戦する人材の育成」を掲げているんです。だから日本記録更新でも、五輪でも、自分が挑戦したいことをしなさいと言ってくれる。あと当時所属していた高橋尚子さんがシドニーで金メダルを取ったときや、2021年のクイーンズ駅伝で初優勝したときに、社内の一体感が高まりましたから、スポーツの力を理解してくれていて、自由にやらせてもらっています。

横田 でも、せっかく出るからには勝ちたい。僕は日本代表と駅伝では会社の方々に喜んでもらえる指数が全然違うと思うんです。日本代表ではユニフォームに社名もないし、積水化学という名前を背負えない。一方、チームや会社で戦っているというのを味わえるのが駅伝の醍醐味なんですよ。

野口 ただ、私は選手の立場を考えると少し複雑な感情があって。今季なら、アジア大会に出場した選手が1~2カ月でまた駅伝にピークを持ってきて、来年も世界陸上に向けて準備して……となると、選手生命が短くなってしまう可能性がある。しかも勝たなければいけないというプレッシャーもかかる。だから私は、「勝ちたい」ぐらいで「勝たないといけない」とは言わない。でもここ数年、大会後に報告会をするようになって、従業員の方々が一緒に喜んだり、悔しがったりしてくれる姿を見ると、やっぱり駅伝は特別なものだなと感じます。

横田 積水では応援動員をかけていないのに、観客も年々増えてますよね。しかもなぜか報告会は勝ったときより、負けたときのほうが雰囲気がいい(笑)。

──駅伝ではチームの結束力も求められます。TWOLAPS組と積水化学組がいますが、どのようにチームビルディングをされていますか?

横田 スタッフ間での情報共有はしっかりと行っているけど、選手同士の交流はそんなにないんですよ。練習も別々だし、合宿地が同じでも時間帯が違ったりするので。

野口 今季も、強いメンバーが揃ってきたし、若い選手もいるし、競い合わせてもいいかなとか、いろいろ話したけど、結局やっぱりバラバラでやろうとなった(笑)。

横田 変わったといえば、選手からのリクエストで、年1回のミーティングが全員参加になり、練習内容もLINEで共有するようになったこと。

野口 ただ、見ているかはわからない(笑)。

横田 選手は誰も「いいね!」を押さないですからね(笑)。ちなみに僕らの関係性で言うと、違う立場で物事を言えることは、選手にとっての逃げ道になっていると思っています。積水の選手が野口さんには言えないけれど、僕たちに言えることがあったり、その逆もある。チーム作りとしてはそこが大きい気がしています。

野口 私は何かあったら相談に乗りますが、1から10まで把握したくないタイプなんですよ。そんなこと言われても、友達じゃないんだからって。横田を見ていて、よく冷静に向き合ってるなって思っています。

横田 僕だって、いつもそうだとは限りません。新谷のことで、野口さんに泣いて電話したこともあったし(笑)。

野口 でも最後は折れるからすごい。クイーンズ駅伝は新谷の加入前、3位が過去最高。それが2020年は新谷が3区でトップに立ち、5区の途中まで先頭を走って。あれで選手たちも「これは勝てる」という結束が生まれ、翌年の初優勝に繫がった。ただ、そこから個がどんどん強くなってしまったので、チームとしてどうまとめていくかが今後の課題になるかもしれません。

個が光る選手層で臨む今年の駅伝の戦略

──では今年の戦略を教えてください。

野口 やっぱり新谷がいると、我々も選手も安心するし、他へのプレッシャーにもなるので主要区間を走ってもらいたいですね。あとは最近外国人選手が増えている4区をどうするか。20~30秒差以内がデッドラインで、昨年のように1分以上離されたら優勝は絶対に無理。2区でアドバンテージを稼ぎ、4区でどれだけ差を抑えられるかが優勝するには必要です。我々にとって4区は重要なので、久保(凛)も候補のひとりになると思います。日本の宝を潰すなとご批判をいただくかもしれませんが(笑)。

横田 3.6kmを1回走ったぐらいで潰れるような選手じゃないですよ。それに、この距離なら、新谷よりも久保の方が速く走れると思います。ただ、駅伝を最重要視しているチームではないので、駅伝のための練習を選手たちにさせることはありません。

野口 それは本人にも「良い冬季練習だよ」って言いました。

横田 実際、久保が800m種目で、世界で勝負をしようと考えたら、強い選手と競い合うこういう場が絶対に必要なんですよ。ただ、直前でトラブルが起きるというのも駅伝の特徴。良い状態なら使うし、ダメなら使わないだけのことです。

野口 毎年すんなり決まるということはないですからね。

──では最後に応援してくださる方にメッセージをお願いします。

野口 毎年優勝候補に挙げられながら、勝ったり負けたりというレースが続いていますが、今年もいいメンバーが揃っています。見てくださる従業員やファンの皆さんに勇気を届けられる走りで、その熱い思いに応えたいと思っています。

◆関連リンク

積水化学のスポーツ総合サイト

積水化学女子陸上競技部「セキスイフェアリーズ」公式サイト

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