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サムライブルーの原材料BACK NUMBER
「Jリーグ自体を変えていきたい」中山雄太が欧州を去り、FC町田ゼルビアに加入したワケ「(代表入りへは)毎日死ぬ気でやっていくしかない」
text by

二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byShigeki Yamamoto
posted2025/04/12 17:00

J1で首位に立つFC町田ゼルビアを牽引する日本代表の中山雄太(28歳)が語るJリーグとW杯への思いとは
「(Jリーグに戻った)もう一つの理由としては、Jリーグ自体を変えていきたいと思ったんです。たとえば今季(ファウルに対する)基準に目を向けているじゃないですか。僕がプレーしていたイングランドのチャンピオンシップはVARがなく、インプレーも凄く長かった印象があります。日本代表の森保(一)監督が(高い強度でJリーグの試合ができるよう)判定基準について意見しているし、僕もそこは凄く意識している部分。レフェリーの方ともコミュニケーションを取りながらやっています」
対戦相手ともコミュニケーション
今季のJリーグはコンタクトプレーの見極めにおいてノーファウルに笛を吹かないことを重視している。無論、世界基準に近づくためだが、その一方でファウルが流されてしまっている現状もある。ただJリーグ挙げての判定改革のなかで、中山自身の「意識」は開幕のサンフレッチェ広島戦(ホーム、2月16日)で十分に見てとれた。対面の中野就斗とバッチバチで激しく体をぶつけあい、中山らしいのは対戦相手ともコミュニケーションを取っている点である。
「最初、僕がガツッとコンタクトしたんですよ。『別にこれくらいなら痛くないでしょ』と聞いたら『大丈夫です』と。そうしたら次に彼のほうもガツッと来た。だから僕も『全然いいよ。お互いこれくらいやっていこうよ』という話をしました」
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相手も促したうえで見どころたっぷりのマッチアップが成立していた。この試合、チームに負傷者が相次いだことで中山もポジションをストッパーに移し、結果的に自分のボールロストが相手の決勝点につながってしまった反省点はあった。しかしながらJリーグを変える中山の強い決意が伝わってくるゲームであったのは確かである。
ミスをしてしまったら、次に挽回すればいいだけのこと。
第2節のアウェイ、FC東京戦(2月22日)ではスコアレスのままで迎えた後半37分、昌子源からの縦パスを左サイドの高い位置で受け取ってターンするや否や、グラウンダーの速いクロスを送り込んで今季加入した西村拓真の決勝点をアシストしている。
「上げる瞬間、(ゴール前は)まったく見ていないですね。拓真とはキャンプから、ここに出してほしいと言われたり、ここにいたらこっちも出せると言ったり、そういう積み上げの先にあったゴール。単純に拓真の嗅覚のところはありますけど、僕としては好きなシーンではあります。
ウイングバックで攻撃も積極的に
自分の特長を考えてみても、クロスの脅威が増えれば相手にとって情報が多くなる。リーグ戦の始めに見せておくことで警戒率も上がるはず。早い段階で数字として一つ残せたことも良かったなとは思います」