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「望外の結果でした」藤井聡太14歳“衝撃の七番勝負”で唯一勝ち、“逆転負け失冠”直後「藤井さんにVSメールを…」名人挑戦・永瀬拓矢の凄み
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by日本将棋連盟
posted2025/04/09 17:51

藤井聡太と永瀬拓矢。長年の研究パートナー同士で知られるカードが、名人戦で実現している
「あのメンバーを相手に6勝1敗で終えるのがどれだけ大変かというのは、将棋を知っている人ほどよく分かると思います」
当企画に携わった野月浩貴八段はこう振り返ってもいた。なお唯一、藤井に対して土をつけたのは、そう、永瀬だったのだ。
いくら将棋のことを考えていても楽しい、という印象
<名言2>
私が対局して「ものすごい体力だな」と感じている棋士は……永瀬二冠ですね。
(中村太地/NumberWeb 2020年8月16日配信)
https://number.bunshun.jp/articles/-/844647
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◇解説◇
今期、初の名人挑戦となる永瀬は8日に行われた第1局前夜祭にて、10年前を思い出しながらこのような言葉を残した。
「第73期名人戦第1局では羽生先生と行方(尚史)先生の対局を1日研究していました。感想戦は対局室で拝見したのですが、対局室に入るのは今回が2度目で、対局に臨むのは重さが違うなと思います」
永瀬は2009年10月、17歳0カ月で四段昇段を果たし、高校生棋士としてプロの世界へ。2013年度の棋王戦挑戦者決定トーナメントでは羽生相手に「2戦2勝」の結果を残して脚光を浴びると、2019年の叡王戦を高見泰地叡王を4勝0敗で下して初のタイトル獲得を果たす。同年には王座を獲得して「二冠」となり、一躍トップ棋士の座へと駆け上がった。
永瀬の棋風として知られるのは、対局に臨むにあたって“軍曹”と呼ばれるほどの凄まじい研究量と、対局中のスタミナである。同一局面が起きた場合に指し直しとなる「千日手」もいとわず、藤井と相まみえた2022年の棋聖戦第1局では「二度の千日局」という史上初の出来事もあったほどだ。
「いくら将棋のことを考えていても楽しい、といった印象を受けます」
王座1期の経験を持つ中村が5年前に永瀬を評した言葉だが――対局後の感想戦で嬉しそうな表情を今も浮かべる姿を見れば、納得する人も多いはず。
大逆転負けの失冠直後…「普段の勉強をぶつけられた」
<名言3>
藤井さんとのVSも再開します。明日、メールを送るつもりです。
(永瀬拓矢/Number1085号 2023年11月22日発売)
◇解説◇
「ああああああーーーっ!!」「そんなあ!!」
2023年10月11日、夕闇に包まれ始めたウェスティン都ホテル京都の取材控室付近には、悲鳴のような叫びが各所で響き渡った。