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「一番厄介だったルール変更は?」高梨沙羅に聞いてみた“ジャンプ競技特有”の難しさ「2シーズン前にあった…『本当に何なんだろう』と」
text by

折山淑美Toshimi Oriyama
photograph byJIJI PRESS
posted2025/04/04 11:02
今季、自身初となる表彰台ゼロでシーズンを終えた高梨沙羅。たびたび行われるルール改正にも翻弄されている印象だが、当人の胸の内は?
――以前から常に課題にしていた助走姿勢に関してはどうでしょうか?
高梨 自分のどの辺に重心を落としてくるのがいいのかというのは、ジャンプ台によって微調整はしなきゃいけないですけど、できてきているとは思います。
――「まだ足りないなと思う」という踏み切りから空中動作へのつながりに関しても、昔の動きを目指すわけではないのですね。
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高梨 昔とはもう使っている道具も違いますし、ルールも変わっているので。同じジャンプでは多分、通用しないと思います。今の自分が使っている道具や体に合わせたジャンプを探っている感じです。
――本当に正解が分からないものを一生懸命探っているみたいな感じですね……。
高梨 そうなんです。男子の試合の映像なども見て、いろいろ勉強もしているけど「やっぱりその人だから、このジャンプって通用するよね」というのがあったりするので。正解がないからこそ、自分のスタイルを見つけていかなければいけないですね。
一番「厄介だな」と思ったルール変更は…?
――以前もクラシックスタイルからV字になったり、スーツがどんどん小さくなったり、大きな変化がありましたけど、最近もルールは毎シーズン細かく変わっていますね。
高梨 そうですね。使えるビンディングが変わったり、スキーの形状も今まで使っていたものが使えなくなったりして苦しんでいる選手も何人も見ています。「自分がそのルールのマイナスな部分に当てはまらなかったらラッキーだな」みたいな感じはあります。
――ちなみに一番「厄介だな」と思ったルール変更は何でしたか。
高梨 私は2シーズン前のスキーの形状の変更ですね。それまで使っていたスキーはわりとフラットめのタイプの物だったけど、それが使えなくなってしまって。空中に出た時にスキーの先端が異様に上がって来る感じになってしまって、それを抑えるのにどうしたらいいかというのをかなり考えました。
――「なんでそんなにルールを変えるんだ」とも思いませんか?
高梨 道具を使うスポーツだからこそ、そうなってしまうのかなとは思いますけど、ルールが多すぎて私自身も把握できてない部分があったりもします。以前、インナーの厚さで失格になった選手もいましたけど、あれは「本当に何なんだろう」という感じでした。

