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「一番厄介だったルール変更は?」高梨沙羅に聞いてみた“ジャンプ競技特有”の難しさ「2シーズン前にあった…『本当に何なんだろう』と」 

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折山淑美

折山淑美Toshimi Oriyama

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photograph byJIJI PRESS

posted2025/04/04 11:02

「一番厄介だったルール変更は?」高梨沙羅に聞いてみた“ジャンプ競技特有”の難しさ「2シーズン前にあった…『本当に何なんだろう』と」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

今季、自身初となる表彰台ゼロでシーズンを終えた高梨沙羅。たびたび行われるルール改正にも翻弄されている印象だが、当人の胸の内は?

――そういうことに毎年対応して、微妙に技術も変えていかなくてはいけない。大変でしょうが、来季の五輪に関してはどういう気持ちで臨みたいと思っていますか。

高梨 世界選手権もオリンピックも平均してあまり結果を残せてないけど、自分の中での力みなども出てしまっているのかなとも思っていて。やっぱりこの4年間で積み上げてきたものを、そこでしっかり出し切ることが一番の目標。その過程をパフォーマンスで見て頂いて感じてもらえるようなジャンプができたらいいなと思います。

 でも、試合に気持ちを振り回されたくないというのはありますね。やるべきことは一緒だから、淡々とその課題や試合に向かっていきたいと思うんですが、その前の過程で試合についていろいろ語る機会もあったりして。こうやって「五輪での目標は?」と意識する機会も多いので、そこにフォーカスしてしまうことも多くなる。「淡々と試合に向けてやっていけないのはプロじゃないよね」とは思うんですけど「じゃあ、何がW杯と五輪と違うんですか?」と言われたら、そういう部分もあるかもしれないなと思います。

五輪で金メダルを期待される大変さ

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――金メダルを期待され続ける大変さはありますね。最初のソチ五輪から常に、そういうことにさらされ続けてもいる。

高梨 期待して見てもらえているのは嬉しいことですし、それに応えられてない自分は情けないですし。何かを背負っているつもりはないけど、やっぱり期待に応えられなくて毎回残念な気持ちになっているので。本当に申し訳ない気持ちで終わった試合が多いなっていうのはすごく思います。

――それを払拭するためには、早く高梨沙羅にしかできないジャンプを完成させることですね。

高梨 理想形を見つけられたらいいなと思いますね。でもそれは、最終的には自信なのだと思うので。そこまで行けたら、多分自信を持って試合にも臨めるのだと思います。

 W杯では通算勝利数63の他、数々の最多記録を持っている高梨。その中で、通算116になった最多表彰台数は、女子W杯開始の11~12年から昨季まで13季連続で積み上げられてきた記録だった。その偉大な記録はついに途切れた。だが、当の本人はそのことを知らなかった。そう、彼女はそれほど、今に集中しているのだ。
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「ずっと同じではいられない」W杯で自身初の表彰台ナシ…28歳の高梨沙羅が語る“雌伏のシーズン” 悩むベテランゆえの難しさ「客観的だからこそ…」

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