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「侍ジャパンで初本塁打」大山悠輔がWBCに選ばれる3つの理由とは…井端弘和監督が絶賛した意外なポイント「見ていて驚いたのは…何より判断力が高い」
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鷲田康Yasushi Washida
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/03/09 11:03

侍ジャパンとオランダの強化試合でホームランを放った大山悠輔。WBCに選出されそうな「3つの理由」とは?
「前のバッターがいい流れで回してくれたので、思い切って自分のスイングをするだけでした。場面も狙っていいところ。めちゃくちゃ嬉しいです! すごくいい緊張感のある中で打てたので、すごくいい1本。これをシーズンに繋げていきたい」
そして代表での2日間の成果については「他球団の選手といっぱい会話もできたし、いい2日間だったと思います。これからシーズン始まると思うんですけど、温かいご声援をよろしくお願いします」と語って締めくくった。
ただ、その後の囲み取材でも、WBC出場に関する意欲を聞かれた問いには、最後まで「出たい」という言葉は聞かれることはなかったことが気がかりなのだ。
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「まずは今年のシーズンなので。明日からチームに戻るのでしっかり切り替えていきたい」
「WBCに出たい」という熱は伝わってこなかった…
今回出場した選手のほぼ全員が「出られるなら出たい」と日の丸を背負ってWBCを戦うことへの夢を語っている。そればかりか参加できるかどうかも流動的な村上や岡本も、また大谷翔平選手(ロサンゼルス・ドジャース)を筆頭にしたメジャーリーガーたちも出場への意欲を熱い言葉で語っている。
アテネ五輪予選で初めてオールプロでの日本代表を指揮した長嶋茂雄監督(現巨人軍終身名誉監督)、第1回WBCで指揮を執った王貞治監督(現ソフトバンク球団会長)に始まり、原辰徳監督(前巨人監督)や稲葉篤紀監督(元日本ハム二軍監督)ら日本代表を指揮した監督たちが、出場する選手たちに最も求めてきたものは代表のユニフォームに対する使命感とそのユニフォームを着ることへの熱であり、チームの一員になることへの憧れだった。
もちろん表現方法の違いはある。決してそれが大山にないというつもりはない。ただ大山の話からはそんな熱が全く伝わってこなかったことが、最後の最後で招集への不安を残すことになるかもしれない。
最終候補で評価が同じような2人のうちのどちらかを選ぶことになれば、やはり「WBCに出たい」「日の丸のユニフォームを着たい」という気持ちを、日頃からより強く出してきた選手が選ばれてきたし、今回もそうなるはずである。
だからこそ……大山のWBCへの、日の丸への熱い心をもっと見てみたいのである。
