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「感慨深いなと…」三浦璃来がしみじみ語った“演技以外の名シーン”…木原龍一と“じつは5年ぶり”の全日本選手権で見せた「りくりゅうの存在感」
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松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAsami Enomoto
posted2024/12/25 11:07

全日本選手権ペアで優勝を果たした三浦璃来&木原龍一
見据えるのは、ロシア勢も復帰するミラノ・コルティナ五輪
次の大会までの時間がようやく空くことから、しっかり取り組みたいという。見据えるのは3月の世界選手権、そしてその先だ。
先日、2026年のミラノ・コルティナ五輪で、国を代表しない中立の立場でロシアの選手の参加を容認することが発表された。ロシアはペアの強豪である。木原は言う。
「パリ(五輪)の状況などを見ていて、必ず戻ってくるだろうなと思っていたので想定内です。彼らは技術力を持っているので、それに追いつけるように努力していかないといけないと思っています」
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圧勝した今大会は、近年の活躍からすれば意外なことだが、2度目の全日本優勝だった。そもそも全日本選手権に出場するのは5年ぶりのことだ。
2019年の全日本選手権に出場後の2020年、2021年はコロナ禍にあった。カナダを拠点とする2人は帰国することによって隔離期間など練習に大きな影響が及ぶため、出場しないことを決めた。
2022年はアクシデントに見舞われた。カナダからの帰国便の大幅な遅延に遭遇し、2人は大会の開幕日当日になって会場の大阪に到着した。だが、スケート靴や衣装は届かず、欠場をよぎなくされた。
昨年は木原の腰椎分離症により、出場できなかった。
三浦璃来「感慨深いです」発言の意味
三浦は、「感慨深いです」と言う。5年ぶりならなおさらだ。でもそれは単に、5年ぶりであったことにとどまらない。
2019年、2人は全日本選手権で優勝したが、それは大会前から分かっていた結果だった。他に出場するペアがいなかったからだ。2020年もほかに参加する組がいなかったため、2人の不出場によりペア自体が実施されることはなかった。
2021年以降も、毎年ひと組のみの出場に限られていた。だが今年は三浦、木原に加え、2位になった長岡柚奈/森口澄士、3位の清水咲衣/本田ルーカス剛史、さらに柚木心結/トリスティン・テイラーと4組が参加した。
三浦は言う。
「5年前、ひと組で(表彰式のとき)写真を撮って、今回は3組。感慨深いなと思いました」
三浦と木原が活躍するにつれて、日本におけるペアの状況は大きく変化した。ペア数が増えたのはその1つだ。
ペアに取り組む選手たちが増えた要因には、2人の世界での活躍がある。その姿に勇気づけられて、以前と比較すれば、ペアへの転向を決断する選手が増えた。
オリンピックや世界選手権などでの活躍に伴って、世間からのペアの認知度や関心も高まった。それもペアに取り組もうとする選手が生まれやすい要因となっている。